これはなかなか面白い。

表紙が何となく気になったので。
盲目の剣術使いが、ヒップホップな相棒とともにハイテク武装した仕込み杖で闘う、て思わず「座頭市かい!」とまずはお約束の突っ込み(笑)
「市」こと土方(ひじかた)がやたらイケメンで笑いました。
B'zの稲葉さんに似てるなあ。
お話のパターンとしては伝統的な「姫と騎士(達)」の物語ですが、姫こと遥の能力や、ストーリーのバックボーンになる組織など、いい具合に変化が与えられて面白いです。
特に井川が属する組織は、不謹慎ながらも一度は想像した事があるリアリティがあって、それを持ってくるかあと感心しました。
ただ、ちょっと展開が急ぎすぎてる気がして、国際テロ編(勝手に名前つけた)に突入する前に、2、3話読み切りがあれば良かったなー。
井川と土方の連携は割と出てくるんですが、最初のゴチャゴチャしてない段階でもう少し見たかったなあ。
その間、遥があの男達と生活するのは多少哀れな気もしますが(笑)
井川はまだ感覚的に「日常」の世界に半分居るような言動が見られて、そこが土方の「非日常」の世界とぶつかるところなど、なかなかドラマチックで面白いです。
土方の立ち位置として、過剰に悪の方へ動く所がいくつかあるんですが、なんとなく映画「コンスタンティン」の主人公のような「どちらに与するかは自分が決める」というキャラ(ていうか単にワガママ)を強く押し出した、新たなアンチヒーロー像を模索しているような印象がありました。
これは面白いぞと思って注目してたんですが、最新刊ではなんとなく普通のアンチヒーロー的な立ち位置に戻っているので、まぁそんなのはどーでも良いのかもしれませんねえ。
アクションシーンの流れやリズム感は、時代劇の殺陣っぽいノリと、ハリウッド的なド派手さのバランスが良いです。
なんとなく岡本喜八監督の「EAST MEETS WEST」を思い出しましたねえ。
(この映画も銃撃と剣術の緊張感が良かった。)
また、ガジェットの使い方がなかなか良くて、分子構造を切断する刃ていうトンデモ設定から、ソナーシステムなんてそこそこ実現化されてるものまで、いろいろ登場してきて楽しいですねえ。
ソナーシステム組み込みグラスから観る世界なんて仮想空間のようで、思わずニューロマンサーのモリィを連想してしまったり。
これはSF感が良く出ていて楽しいです。
それにしても土方がカッコ良すぎる度に「フヒッ」という変な笑い声が口から漏れるので、あまり人の居る所では読みたくない漫画です。
(ちなみに今はそうでもありませんが「腐」歴があります。)
あと妄想というか、これアメコミ風な画だったらちょっと面白いかもとか。
シエラがちょっと弱い感じなのが気になってて、アメコミの女性ってなんか凄く強いっていうか男みたいな(笑)イメージがあるので、そういうテイストだと
また違うんだろうなあ、とか。
井川はまんまヒップホッパーだし、土方はもうサムライでいんじゃね(笑)。