「Twilight -初恋-」

獣が餌に恋をしたら、初恋のちょっとほろ苦い感じに似てるんじゃないかな。そもそも獣が食べ物を前にして考える事なんて一つしかない。食べたい。けれどそれに恋をしてしまったら、食べることができない。食べたいのに食べられない。禁欲的な恋愛は、その先にいつも性欲を想定していながらその身体を否定する。それは性的な快楽にさらに痛みを加えるくらいの倒錯した性と同じくらい、エロティックで耽美だ。
人を好きになった時、気持ちが上手く伝えられないことがある。好きなんだけど、伝え方が分からない。初めての恋は、そういう「分からない」で満ちてる。ここで言う「分からない」は、キスとかセックスとかの行為のことじゃない。分からないのは好意に付随する感情、好意のディテールの伝え方だ。初めてじゃなくてもやっぱり分からないけど。好きなのに、うまく伝わらない。この焦燥が禁欲的な恋愛を強いられる二人、という設定に上手くリンクしている。これは吸血鬼と人間の恋というファンタジーを普遍的な初恋の次元で語った恋愛の物語だ。(なんだかそのままだな)




医者の父さんがまっちろい顔で爽やかに登場したシーンが一番笑えました。