ラスト・オブ・アス 残されたもの


人間をゾンビ化するウィルスが蔓延し人類が滅亡の寸前にある一方、自然環境が著しく回復した世界観を背景に、困難を乗り越えて生きのびようとする人々を描いたゲーム「ラスト・オブ・アス」のDLC「残されたもの」クリアしました。


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四季ごとに進んで行くゲーム本編の「秋」と「冬」をつなぎ、さらに本編では感染したにも関わらずクリッカー(ゾンビ)化しない謎の少女エリーを主人公に置いて、彼女の過去をカットインで見せて行く構成でした。ゲーム本編でも思ったけどこのインサートとか編集センスがすごく巧いんですよね。今作は小説で言えば短編にあたる短い内容ですが、映像によるストーリーテリングがゲーム内の感動をよく盛り上げていて素晴らしい作品でした。

操作・難易度について

アクション苦手なので初級(イージー)で。うーん簡単モードでもやっぱり弾当たらないんだけど、どうしたらいいの…。主観カメラの操作は慣れて来たせいか無茶な振り方しなくなり、だいぶ3D酔いは抑えられました。このブログによく「ラスト・オブ・アス 3D酔い」って検索キーワードで来てるんだけど、落ち着いて一人ずつ順にカメラを向けるようにすると大丈夫だと思います。でも敵やクリッカーがわーっと来ると慌てちゃうんだよね。
基本的にステルス(隠れながら進める)ゲームで、さらに今作は体力の少ないエリーが主人公なのでかなりきっちり隠れてないとあっという間に死にます。ていうか死んだ。序盤はまあわりとできたけど終盤戦は敵の数が多くて辛かったな…。ヒントになる場所までたどり着けずに、敵に回り込まれました。でもほんとストーリーがすごくいいから続きを見たくなるんだよね。もう二度とクリアできる気がしないけど(笑)



以下ネタバレ





親友のライリーに誘われて廃墟の中を探索していくエリーの過去のエピソードについては、この後この二人を襲う運命がゲーム本編で明かされているので、ものすごくどんよりとした気持ちで進めました。ゲーム終盤でエリーが一緒に感染した親友(ライリー)のことを明かすシーンがあるんですよね。望んでファイアフライに志願したライリーと、軍の保護下に留まることを選択したエリーの間には確執があり、序盤はその固さがところどころ見え隠れします。けれど選んだ道を乗り越えてライリーはエリーに会いに来たんですね。エリーはライリーに危険に満ちたファイアフライとは縁を切って欲しいと願っていて、ライリーはファイアフライであるかどうかに関わらずエリーを大切に思っている。大人の人間関係でもこの微妙な感情を表現するのは非常に難しいところですが、それをまるで閉園後の遊園地に紛れ込んだ子どもたちのように描いたシーンは本当に良かったです。遊園地というかショッピングモールですが。ハロウィンのお面で遊んだりゲームセンターに忍び込んだりしながら、お互いに少しずつ本来の気持ちに正直になっていくシーンは映画でもなかなか難しいところを見事に描き切っています。
一方、雪が降り積もるその同じショッピングモールでエリーは孤独にジョエルを救うべく戦い続けるんですね。過去では夏で、現在は冬です。この対比の仕方も思わず感心してしまいました。クリッカーはまあいいとしても凶暴な大人相手によく戦ったよエリー…。
最後に二人は本編の予告のとおり感染してしまうのですが、ライリーは戦うことを選択します。結局最後はみんな狂って死んでしまうのかもしれないけど、少しでも長く人として生きよう。そのために戦おう、と。それが現在のエリー、すなわちゲーム本編のエリーにかかってくるんですね。
ゲーム本編の感想で、「エリーは最初から死ぬつもりだった」と書きましたが、これは誤解でした。エリーは最初から死を覚悟した上で生きようと戦っていたんですね。その最後の瞬間を待ちながら。ゲーム本編をきちんと補足しつつ、非常に完成度の高い作品でした。すごい。