アサシンクリード ユニティ


あらすじ
18世紀フランス、パリ。王政が崩壊し民衆が力をつけつつある時代にも、アサシンとテンプル騎士団は歴史の影で対立していた。アルノ・ドリアンは幼い頃父を喪い、幼なじみのエリスの父、デ・ラ・セールに養われ、エリスと共に成長した。ある日、アルノは養父宛に届けられた手紙を出先に届けるも、それを手渡しせずに出てきてしまう。その内容はデ・ラ・セールの暗殺を警告するものだった。アルノの目の前でデ・ラ・セールは何者かによって暗殺されてしまう。それを目撃したアルノはその犯人を追うため、自らアサシン教団に参加するのだった。

ゲームシステムについて

操作などはゲーム開始に少しブログに書いたので、ここではイベントやサブミッションについて書きます。極力ネタバレなく書こうと思いますが、気になる人は読み飛ばしてください。

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アサシンクリード ユニティ始めました - ここでみてること


まずはゲーム中に時々カットインするハッカーらしい男女の2人組に誘導されて行う、サーバーブリッジのミッションがすごく楽しかったです。このユニティの本来の舞台は18世紀のパリですが、19世紀の建造中のパリの自由の女神によじ登ったり、第二次世界大戦中にドイツ軍に占拠されたエッフェル塔によじ登ったり、いやーいろいろ観光名所をよじ登れて楽しかった!エッフェル塔については、戦闘機とのイベント戦があったりして、私はあまり戦闘機とか詳しくないけどそういうの好きな人には面白いイベントだったんじゃないかなと思います。
やっぱりこのゲーム、こういうつぼをちゃんとおさえてて嬉しい。
メインストーリーのイベントも今回かなり攻略方法をユーザーに任せた自由なかたちになっていて面白かったですね。まあ私はあんまり上手くできなかったけど…。最初に敵兵の会話や、群衆でのアクシデントなどのデモが流れて、それをヒントに攻略して行くというスタイル。慎重な人はいろいろ調べてから行くんだろうけど、下手な割にせっかちな私は行き当たりばったりスタイルでやりましたよ(笑)そんなんでもヒントのいくつかは利用できたし楽しかったです。
序盤は大丈夫だけど後半も後半、最後の潜入はノーヒントなのでかなり苦労しましたね。隠れるところや暗殺に利用できる場所はたくさんあるんだけど、なにしろ敵が強い!ちょっと囲まれるとあっという間に死にます。今回の主人公アルノはけっこう弱いです。銃弾受けるとライフめっちゃ減ります。それと常に危険を感じていたのは、槍とか長い柄の武器ですね。これもなぜかめっちゃダメージでかい。敵兵も高度になると両方使って来たりするので、距離を置いて回避ばっかりしてると遠くからズドンと撃たれたり、近づいたところを足払いかけられたりと大変でした。こっちはフルーレ系ばっかり使ってたからなあ。あれが一番受け流ししやすいんだよ…。
今作は本当に「戦わずにやり過ごす」、ステルスゲーム本来のシステムに寄っているような感じでしたね。まあ上手い人は何でも使いこなすんだろうけど…。少し不満だったのがステルス寄りならもうちょっとファントムブレード(飛び道具)の本数多くして欲しかったなあ。潜入終盤になって足りなくなることが多数あって、結局見つかっちゃったりがんばって物陰から暗殺してました。そこはさくっとやりたい。
今作はけっこう移動アクションにステルス系のものが増えていたりして、そこを駆使してがんばれということなのかもしれません。この部分は割と良かったんですが、ちょっと入力の感度が良すぎるのか私が熱中してガチャガチャやりすぎてるのか、キャラが変な方向に行ってしまうことがありました。特にフリーランで屋根の上走ってるとき。屋根からロープへ降りる時にぶら下がってしまったり、隣のポールに飛び移ってしまったりと、思わぬ方向の入力を拾ってしまっていて、あーもうそっちじゃないー!と何度かイライラしました。
そして毎度おなじみのバグですが、進行不能になったのは1回でした。まあそれくらいなら許せるよ。人が壁から湧いてきたり降ってきたり、変なところで走り回ってたり、気になる細かいところはたくさんありますが、まああれだけのモブを動かしているんだものしょうがないよね…。

シナリオについて

!!! ネタバレ !!!









父に続き養父まで暗殺され、自らアサシンとなったアルノ。そして今作のヒロイン、エリスはなんとテンプル騎士団!おお!これは報われぬ愛ってことなの!?ロミジュリ的悲劇なの!?
と、わくわくしていたんですが、エリスがめっちゃ気の強い女性で割と二人で活躍するシーンが多く、あんまり悲劇という感じはありませんでした。なんだろう、フランス革命という新しい時代を迎えようとしている時に出会った二人もまた、これまでの悲劇のようになす術もなく運命を嘆く、なんてことはしないで、それぞれの道を模索し時に協力しながら生きていこうとする、活力にあふれた物語でした。革命のあの混沌としたエネルギーがそのままあの二人にも流れているような。
これまでこのシリーズの主人公は、己の信じるものに裏切られたり、自らのルーツを探り最終的にはマスターとなっていく過程だったり、とアサシン教団というものが主人公たちの在り方に大きく影響していたと思います。そこからの脱却だったり再構築だったりするんですよね。でも今作はその存在はそこまで大きくありません。アルノにとってアサシン教団はアイデンティティになり得ない。何故なら彼は自分自身で言っているように、テンプル騎士団の養父に育てられたから。アルノにとってアサシンになるということはただの手段なんですね。彼の復讐のための。けれどアルノは最終的にはアサシンとなります。「禁じられていることなどない」という教義に彼が見いだしたのは、許可ではなく警告でした。そのアルノが理解した警告は厳密にはアサシン教団のものとは違うのかもしれません。それはただ一人、彼だけが信じる教義。その教義の元に、このアサシン教団とテンプル騎士団の両方に関わりを持つ、唯一固有のアサシンとなったのだと思いました。


さて。古代から続く因果など吹き飛ばすような熱い関係の二人ですが…あのエンディングは、ね。ここまで熱い共闘ぶりを見せてくれたからこそ、切なかった。アルノの、言葉もなくエリスに手を添えるあの表情。もう声もなくても、キャラクターの演技だけであそこまで感情を表現できるのかと感心するのと、その結末の奇妙な納得感にやるせなかったですね。そう、エリスはそれを望んでいたけどそれを叶えることは、そのままあの結末だった。いやー。良かった、というとちょっと語弊があるけどこういう物語も好きだよ…!