METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS


久しぶりにリプレイしました。
今回は先日リリースされたDL版を購入したのですが、ダウンロードめっちゃ時間かかった(笑)うちの回線のせいかもしれないけど、このゲームコンテンツの大半がムービーと言っても差し支えないのでファイルもすごくでかい…のかな。DL版と言ってもディスク版と変わらない(トロフィー機能が付いたくらい?)ですけどね。


さて。久しぶりのソリッド・スネークの物語です。このゲームの終盤にとても重要な役で登場する「あるキャラ」の声を大塚周夫さんが担当していたのですが、周知の通り先月ご逝去されました。改めてご冥福をお祈りいたします。今回、その追悼の意味もあってリプレイしたんですが冒頭からキャンベル大佐こと青野武さんの声に、そういえばこの方も既にいないんだなあとしみじみ思いました。
でもなぜかあまり悲しいとは思わなかったんですよね。もう大佐の声は聞けないんだなあと寂しく感じたんだけど。


このMGS4は、物語を終わらせるための物語、だと思うんですよね。メタルギアという悪夢のような兵器を巡る過去の因縁から、スネークはいろいろなものを背負ってきた。遺伝子に関わる自身の生い立ちや敵対せざるを得なかった友人、そしてそれを巡って捩じれてしまった復讐の対象となり、最終的にはメタルギアと同じく死をばらまく兵器と化してしまう。
それだけじゃなく、戦場で関わり合った様々な人たちとの友情や絆、なにより幾度となく立ちはだかって来た「もう一人の自分」リキッドとの闘争。
それをあますことなくすべて終わらせる。それだけのために膨大な量のエネルギーがこのゲームには注がれているんですよね。この物語の中でソリッド・スネークは終わらせるために生き延びている。
その一つ一つを追って行くこと。長くこのキャラクターの背中を追いかけながら様々なものを読み取って来たファンにはかなり辛い物語ではあるのですが、なんだろうやっぱり観たいんですよね。その戦ってる姿、後ろ姿を。
そしてソリッド・スネークは最後にはこのゲームという舞台から去って行きます。いや隠れたという方がいいのかな。もう誰にも見つからない。もう誰にも見つけられない。あのキャラクターは帰ってこない。
でも寂しいとは思ってもなぜか悲しいとは思わなかったんですよね。それは何度もこうやってゲームをリプレイできるから。先に上げたお二方はもう世を去ってしまったけど、またこうやって物語を再生(リプレイ)できる。劣化することなくそのままの声や姿でまた出会える。
この感想は伊藤計劃さんのノベライズに頼るところが大きいのですが、終わらせることは必ずしも終わりを意味しない、「悪しき発端がゼロに還った後、あらたな未来である1が生まれるはずだ」と台詞があるように、同時に再生の物語でもあったと改めて思いました。


もう一つ、終盤に登場するソリッド・スネークにとって最も重要なそのキャラクターの台詞で印象的だったのは
「0(ゼロ)が1になるとき世界が動き出す」というもの。
この後に1が2になりやがて10、100になる、というように10進数で語られるのですが、私は2進数を思い浮かべていて、デジタルで描かれるフィクションの中で語られる真(TRUE)なのではないかと思いました。(まあTRUEは定義しだいなので1から0の逆でもいいんですが)
0から1の小さな差分が、プログラム引いてはゲームへとダイナミックに躍動する。ゲームとはそういうものなんじゃないかと気がついた台詞でした。


2008年発売のゲームですが既に無人機が多数登場していたりと、入念な世界観の構築にも改めて驚きました。ようやく最近になって無人機(ドローン)のニュースを普通に見聞きするようになったなあと感じているんですが(あまりミリタリー系を知らないので)、そういう先取りするところがMGSらしいなと思いましたね。
それと今回のリプレイではメリルがすごく良かったんですよ。なんだろう、伝説の英雄に憧れていた過去を振り切って自分のできることに邁進する姿とか、肉親との確執を乗り越えていく強さとかがすごく迫るものがあって、このゲーム、何度もやってるのに新鮮でしたね。いやーでもよりによって伴侶をあいつにすることはないと思うけど(笑)まあなんだかんだ言っていいカップルなのかな。
東欧編でメリルがスネークに言った台詞が印象的でした。「若い頃のあなたの活躍を知っている。あなたは私の糧だった」初めてMGS1をやった当時、MGS初心者だった私は敵を撃つのも一苦労で(笑)メリルに近い感じだったのかもしれない。すごく共感できる台詞でした。


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