Vがくるよ。はやくきて。


METAL GEAR SOLID V


ここ最近いろいろと噂になっていたり、小島監督自身も開発に関係するツイートは控えているようで、今年のE3は大丈夫かなあと思っていましたが。来ました。これがリリース前最後のトレーラーになるのかな。TGSはもう発売後だし。


さて。ShortバージョンとLongバージョンでまったく内容の異なる大サービスです。うう、嬉しいよう。MGSファンにはおなじみなんですが、この発売前のトレーラーでいかに想像、いや妄想(笑)を膨らませるかが毎回お楽しみの一つなんですよね。


Shortバージョンの方は台詞やナレーションなしでデモのカットを繋ぎ合わせたもの。最後にはきらーん!とお遊びも入り、最新のシーンがてんこ盛りです。試作REXぽいのが出てくるけど、あれかっこいいなあ。毎回思うんだけど、あれどうやって倒すんだろう…。


そしてLongバージョンの方ですが、こちらはかなりストーリーに突っ込んだ内容になっています。今回のテーマは人種「Race」ということらしいのですが、どうもトレーラーを見ると言葉、言語というテーマを推しているような。MGSには毎回キーワードがあって今のところ"e"で終わる4文字の英単語だったりするんですが、え、もしかして裏テーマは「Code」とか?Code Talkerというキャラクターも出てくるしね。Codeは電線という意味もありますが、暗号やコンピュータ言語のことをCodeと言ったりするので言語に関係の深い単語でもあります。


まあそれは良いとして。言葉というのはごく普通に使っているようでとても不思議なもので、どうして言葉で意志が疎通できているのかをよくよく考えるとなんだかちょっとよく分からなくなります。そういう言葉と意識をテーマにしたSFを言語SFと呼ぶんですが、今作のストーリーにはどうやらそういう要素もあるみたいですね。先日メディア向けに行われたプレビューでも紹介されていましたが、潜入する地域ごとに異なる言語があり通訳を雇ったりしないと現地の人の会話が分からないようになっているとか。もし彼らの言葉が分かれば潜入の大きなヒントになったりするようです。言語スキルがゲームに組み込まれているんですね。小島監督の作るゲームはこういうふうにストーリー上だけでなくゲームありきの設定になっていることが多くて、そういうところがすごく好きなんですよね。それに「言葉を持たない狙撃手」、クワイエット。言語が重要である中、彼女の立場はとても興味深いものになりそうです。クワイエットは手話もしてないよね。今のところ。


と、話がそれたけど今作ではゲームで言語SF的なものを描こうとしているのではないかと思います。言語SFって小説はわりとあるけどけっこう難しいんですよね。なんと言っても「言語」や「意識」という概念をテーマにしているので、具体的にこう!という映像作品とはあまり相性はよくないもののように思います。まあそれは素人考えだし、あの「規範が命を持った」というMGS2を作った小島監督なのでその辺はまったく心配していないですが(笑)


そう、今回はMGS2の逆になるのではないかとちょっと思いました。ここからは勝手な妄想ですが。以前、MGRの感想(3週目クリア。 - ここでみてること)を書いた時にこう思ったんですよ。放射線は遺伝子(Gene)を傷つける。では知的遺伝子(Meme)は、何によって傷つくのか。ミームにとっての「放射線」はなにか。ミームの基盤はコミュニケーションです。流行やちょっとした生活の知恵から、過去から綿々と受け継がれて来た伝統まですべて、誰かと誰かの間で交わされたものでできている。そのコミュニーケーションの大部分を占めるのが言語です。そう、トレーラーの中でスカル・フェイスは言語を殲滅するというようなことを言っていました。母語を持たない彼にとって言語はどのような存在なんでしょう。トレーラーを見る限り、それはあまり良いものではないようです。そしてザ・ボスの意志を実現しようとするゼロ少佐は言語ではない、別の方法を見つけたようです。言語を挟んで対峙する、二つの意志。そして肝心のスネークは何も語りません。一応、スカル・フェイスの方についているようですが、彼の意図は別のところにあるのでしょう。


遺伝子が傷ついた細胞はやがて修復不可能になると暴走します。そう、癌ですね。ミームが傷ついたコミュニケーションが修復不可能になると、やっぱり暴走すると思うんですよ。それを復讐、と呼びます。


ミームによって惑わされた世界を、自分を取り戻す物語。それがMGS2だったと思います。ミームは善でも悪でもない。誰が物語を紡ぐのかによって、誰が誰に何を伝えるのかによって世界はできている。ミームが当たり前にある物語でした。しかし今回は、ミームそのものが成り立たない。言葉が分かる人に銃は向けられないけど、何を言っているのか分からない人を撃つのは、どうだろう。こう言うと残酷だけど、すこしばかり心理的なものは少ないような気がします。そういう、MGS2のような世界を破壊する物語。に、なるんじゃないかな、と思います。


まあこんなふうに妄想を逞しくさせてるのはやっぱり楽しいですね。発売までまだまだあるけど本当に期待して待ってます。