BLAME! 新装版

新装版 BLAME!(1) (KCデラックス)

新装版 BLAME!(1) (KCデラックス)

新装版 BLAME!(2) (KCデラックス)

新装版 BLAME!(2) (KCデラックス)

新装版 BLAME!(3) (KCデラックス)

新装版 BLAME!(3) (KCデラックス)

新装版 BLAME!(4) (KCデラックス)

新装版 BLAME!(4) (KCデラックス)

新装版 BLAME!(5) (KCデラックス)

新装版 BLAME!(5) (KCデラックス)

新装版 BLAME!(6)<完> (KCデラックス)

新装版 BLAME!(6)<完> (KCデラックス)

漫画「シドニアの騎士」で有名な二瓶勉さんのハードSF漫画です。通常版のコミックで完結しているものが、今回、大型判&書き下ろし表紙として新たに出版されました。内容はコミックと同じものですが、ちょっとした違いを感じたところもあるのでまとめてみます。(紙版です)


まず、表紙ですね。これねーめっちゃかっこいいです。新装版は全6巻ですがすべて書き下ろしになっています。こうしてみるとけっこう絵のスタイル変わったんですね。今の「シドニア」みたいなかわいい感じも好きだけど、こちらのシャープな線も素敵です。1巻の霧亥の装備の書き込みがいいですね。漫画の中では真っ黒でよく分からないけど、いろんなアタッチメントだったり端子があるんだよね。そう言えばストーリー冒頭では雑嚢もってたけど、途中から重力子放射線射出装置しか持ってないよね。すごく高いところよじ登ったり、狭いところ進んだりするから全部身につけた方が便利なのかな。


大型判になってコマの細部まではっきりと分かるようになったのが、新装版の一番のメリットかなと思います。ストーリー自体読み返したの久しぶりだったけど、いろいろ発見があって面白かったですね。ちょっとネタバレになるけど、最終話で霧亥を追いかけてくる、丸ぼうずの霧亥コピーみたいなやつ、よく見ると襟のところと耳のところにセーフガードのマーク(-|-)が入っているんですよね。これ初めて気づいた。他にも細かい書き込みがよりはっきり分かるようになっていて、すごく面白みが増したと思います。ストーリー的に重要な部分も見易くなっているし、初めて読む人は新装版の方が良いかも。
それにこの漫画の特徴である超巨大な建物、超構造体(メガストラクチャー)も大判ならではの迫力があって素晴らしいです。なんといってもこの漫画、主役はこの超構造物ですから!東亜重工のシリンダー形状にちらちらと光が灯っている風景がベストロケーションかなあ。最初の超構造体を抜けた時に眼下に広がる都市の全景もいいよね。この漫画、一瞬スケールを見失うようなパースの取り方がすごく魅力的で、さらにそんな超構造体を貫通するエネルギーを出力する、重力子放射線射出装置がまたいいんですよね。白く細い線が大きな穴を穿ちながらどこまでも直進する光景、そしてそのあとに続く大崩壊。何度も登場するこれらの一連の流れ。一方で、細々としたせまーい廊下やぐねぐねした配管や、どこまで続くか分からない階段やら、都市の細かい風景も素晴らしい。建設者という人間とは異なる意識、意図が造り上げた都市はもはや人間が快適に住むことなど考えていない、表層だけをそれらしく象った異形のオブジェの連なりです。人間の生活の残り香が魅力的な廃墟と違って、そこには何か別の種類の魅力があるんですよね。
そういえば新装版はkindleでも出ているみたいだけど、漫画はハイライトできないんですかね。マイベスト構造物とかハイライトしておきたい(笑)シェアして他の人のマイベストも見られたら楽しいんじゃないかと思うんですが。


それと何度も読み直してストーリーを前より把握できたせいか、キャラクターの表情が少し読めるようになりました。まあ分かりにくいんだけど。あんまり、というかほとんど表情らしいものがない霧亥ですが、ちょっとびっくりしたり怒ったり悲しそうにしてるのが分かります。そういえば嬉しそう、というのはないのか。セリフが少ないから絵から読み解かないと分からないんですよね。よく見ると珪素生物も笑ったり怒ったり(青筋が立つ)けっこう表情豊か。珪素生物は形状こそ特殊なキャラが多いですが統治局、セーフガードと比べて人間に近い心理だったり、普通に言葉が通じたりするので分かりやすいかな。彼らも霧亥と同様にネット端末遺伝子を探してる、目的が同じってところも大きいですね。


と、良いところばかりでお買い得でしたが、唯一のデメリットは置く場所がないってことですかね(笑)どうしよう。