お祭り騒ぎを目撃するっていうこと

映画が好きなうちの親と話していて「最近、ぱっとしたヒット作ないねえ」と言うのですかさず「マッドマックスあるよ!」と言ったら「お母さん、そういうのよく分かんない」と言われた娘です。こんにちは。ぐぬぬ


一部の映画ファンにはすでにV8教(映画の中でそういう狂信的な教義が出てくるのと、映画を8回観るといいことが起きるとまことしやかに囁かれている)とまで言われている「マッドマックス・怒りのデス・ロード」。それにしても「怒りのデス・ロード」ってこの映画のお腹いっぱいな感じを的確に表現していてすごいとおもう。
私もV8までは届かないけど、めずらしく2回観ました。V2ですな。セリフが少なくストーリーが至極単純、その分むせ返るほどのアクションが詰め込まれたこの映画は、観た人のなにかを刺激するらしくてブログだけでなく、ツイッターでも感想を見かけます。
解釈が分かれるようなストーリーでは全然ないし、登場人物は確かにセリフが少なくてその演技やアクションから読み取る必要があるけど、あの世界の人たちは基本的に生存競争しているだけなので、複雑な組織的陰謀とやらはないんですよね。じゃあ、考察しがいのない、火薬量が多いだけのいつものアクション映画じゃん、と言われればそれまでなんだけど。そこに何かが見えるから、映画が本当に好きな人は何度も何度も観に行ってしまう。まあうちの親みたいに「あんまり好きじゃないわ」って映画ファンも当然いますけどね。


これってなんなんだろう。いつもの映画じゃない、1回観て満足しないこの感じ。なんとなくそれをもやもやと抱えていて気がついたんですが、これってお祭りに似ているんですよね。お祭りはお祭りでも皆で輪になって踊る方じゃなくて、山車行列とか喧嘩神輿とかああいうやつ。超高速だけど(笑)
荒野を突っ走る怪物ウォー・タンクを先頭に、どんちゃん騒ぎをしながら醜悪で楽しげな地獄のパレードが繰り広げられる、そんな感じ。お祭りって楽しいじゃないですか。なんだかよく分かんないけどわくわくする。それにそういうお祭りって参加するんじゃなくて、沿道から楽しむものですよね。この映画もそうなんじゃないかなあ。確かにその御神輿の由来や意味が分かれば、キャラクターの来歴や過去作を知っていれば鑑賞に奥行きが出るけど、お祭りってそれを知らなくても楽しめるものですよね。
なんだか大きな音が鳴っている。みんなが大騒ぎしてる。この映画はスクリーンに描かれた、野蛮で勇壮な祭事を目撃するっていうこと、なのかも。そんな風に思っていたのか、この映画のラストシーンはなんだか寂しいんですよね。あーあ。お祭り終わっちゃったなあ、って。
また観に行こうかなあ。