メタルギアソリッドV ファントムペイン


本編クリア済み、達成率100%がんばりました。

ゴールドスネークさんです。一回これで出撃したけど…思ったほど見つからなかったですね。それよりタキシードの方が難しいわ(笑)そんなネタも含めてMGSV:TPPを振り返ってみたいとおもいます。

ゲームについて

最初の最初、病院から脱出する「序章 覚醒」。ゲームが始まってとりあえずここから始めなければ進めないのですが、これがもう今までの「メタルギア」をひっくり返すぐらいの、究極的ミッションでした。やってる人なら分かるんだけど、このメタルギアというゲームは「見つかったら即死のかくれんぼ」的な緊張感があるわけですよ。ぜぇぇったいに見つかっちゃダメな上に肝心の操作キャラクター、スネークはなんと腹ばい状態からスタート。歩いたり走ったりができません。その名の通り蛇のようにのろのろと床を這い回りながら敵から逃げなければならないのです。このスリルは文字では伝えることが難しいので、初回プレイ時にあまりの緊張のため私の胃がねじ切れそうになったことをお知らせいたします。やばかった、ほんとやばかった。ベッドの下のアレとか死体にまぎれるアレとか。何回も「死ぬっ?!」って思ったんですが、さすがにそこはシリーズのファンを大事にしてくれる小島監督作品、ちゃんとクリアできる絶妙の難易度でした。
と、まあこれが延々と続くと私の胃が急性胃潰瘍になってしまうところですが、今作ではストーリーがミッションという単位に分けられていて、それを一つずつクリアしていく、というスタイルなんですね。ミッションをクリアするごとに小休止が入るので、あまりにも極端な緊張が続いて疲れる、ということはありませんでした。私の胃にも優しい。ですがこの「メタルギア」というシリーズ、ゲームの面白さだけでなくストーリーにも定評があり、少しずつ解明して行く謎(主に兵器「メタルギア」に関するもの)が魅力的なんですが、このミッション制(と、勝手に名付けますが)のためかストーリーが途切れ途切れになってしまっていて少し盛り上がりに欠けた、という点もありました。小島監督作品の一番好きなところはこのゲームとストーリーがいかに融合するか、という部分なんですよね。ただこれは後でネタバレで述べますが、非常に優れた点もあったことだけを書いておきます。
序章以降はちゃんとスネークさんも歩いたり走ったり、もちろん隠れたりと様々なアクションをこなしてくれるのですが、この操作性がとても良かったのが印象的でした。特に、立ち→しゃがみ→匍匐の滑らかな姿勢移行。静止状態ではない歩きながらでもスムーズに変わるので、すごく「こっそり」感があるんですよね(笑)こういう「敵から隠れて進む」ゲームだからこそのこだわりが感じられる操作でした。あと地味にカメラもいいんですよ。こういうアクションゲームだと3D酔いがあったりするし私もよくなるんですが、メタルギアは大丈夫なんですよね。ほとんどゲーム側でカメラの制御を横取りしないからかな。今作では敵の位置をあらかじめ見つけておく「索敵」もゲームの要なんですが、索敵のFPS的な視野と潜入時のTPS的な視野、どちらもプレイヤーが主体的に操作するようになっていると思います。キャラクターも操作してカメラも操作することになるのですが、そんなに難しいとは思わなかったなあ。
武器についてはあんまり詳しくないのでなんとも言えないのですが、武器の開発ですね。これはあまりゲーム的な面白みはありませんでしたね。うーん、ソーシャルゲームのように武器が完成するまで時間がかかるというのは分かるけど、他の人と協力して開発できるわけではないし課金で時間短縮というオプションもなかったので、なんでしょうね?という感じで待ってました。よくよくは課金するつもりだったのかも。
アイテムについてはなんと言っても段ボール。ここまで段ボールの使い道を模索したゲームは他にないわ(笑)隠れるだけじゃない、飛び出して攻撃したり、敵をおびき寄せたり、ダメージを少しだけ減らしてくれたり、滑ったり。段ボールだけでかなり遊びましたね。
敵についても書いておきましょう。一般的な敵兵もかなりAIが高度なので、見つかると状況に合わせた反撃をしてきます。これがわりときつい。このゲームは戦うほどスネークが強くなるわけではないので、一番のクリア方法は「見つからない」なんですよね。でも敵もバカではないのでスネークのちょっとした足音とかちらっと見つかってしまった影とかに敏感に反応して探しに来てしまいます。状況にもよるけど二人一組だったりして、わざわざ罠にひっかかるようなこともしません。いやーオープンワールドに慣れない頃はけっこう大変だったなあ。そう、今作は砂漠と岩山がメインのアフガニスタンと、サバンナが広がるアフリカの二つの広大なフィールドをどこにでも行けてしまう、というオープンワールドと呼ばれるステージなんですよ。これがかなり広いわりには、要所要所に敵兵が配置されていてうっかり呑気に歩き回っていると見つかってしまうなんてことがよくありました。それと高台や低地でどのくらい見えているか分からなかったり、遠距離でもスナイパーなどスコープから見ている敵からは丸見えだったりして、一度フィールドにでると油断できないんですよね。慣れてくると「ここまでは大丈夫」なんて見切りもできるようになって楽しいんですけど、最初はほんと一歩進むごとにきょろきょろしてるような感じでした。でもこういうのって初見の面白さが一番なんだよなあ。
少し残念だったのは「このくらいの傾斜は登れる」と思ってるところが意外とだめだったり、急いで逃げてる時にアクションボタン押さないと高い所を登ってくれなかったり高低差のあるところで難があったなあと感じた点でした。今までのシリーズでもこんなに登ったり降りたりってなかったからね。逆に高低差を利用して面倒な監視所をすり抜けたり、狙撃がわりと好きなので高台から狙い撃ちとか楽しかったですね。



以下、ストーリーも含むネタバレです。少しだけ攻略も。








ストーリーについて


前作「メタルギアソリッド ピースウォーカー」(以下PW)で「国境なき軍隊」として拡大した組織を、謎の組織XOFに壊滅させられたのが前章GROUND ZEROSでした。その9年後、昏睡状態のままだった「スネーク」はようやく目覚め再び兵士たちを集めてXOFに復讐する、というのがメインのストーリーです。しかし復讐に熱を上げているのはPWでも良き片腕だったカズヒラ・ミラーの方でスネークはあまり自分の思いを語りません。そしてもう一方の片腕、オセロットは極秘の使命のためにスネークをサポートしています。ここでネタバレをしてしまいますがこの「スネーク」はビッグボスの影武者(ファントム)なんですね。このファントムはプレイヤー自身にも掛かってくる、半分メタ的な存在です。ビッグボスという存在は別にいてファントムとは表と影(この場合どちらにも可換)の関係です。この関係はまた後述するとして、先にこの三者から少し考えてみたいと思います。まずは片腕を亡くした片腕、カズです。彼はその名のとおりミラー(鏡)なのではないかと思うんですよね。ただそれはファントムがビッグボスと対峙する時の鏡ではなく、ファントムすなわちプレイヤーが覗き込む鏡です。そこに映っているのは血まみれの、頭に尖ったものを突き出させている鬼。それはカズの怒りの体現でもあると思うんですよね。ファントムに怒りという息吹を吹き込む鏡のようなものとして。
一方オセロットはビッグボスの命令でファントムをサポートしている一方、監視をしているようにも見えます。彼はビッグボスの精神的なひな形をファントムに与えているのではないかと思うんですよね。この片腕たちは、ビッグボスの精神的な在り方とそれを巡る血のような激しい感情、怒りの両面からファントムを作り上げている。それではファントムとは何なんでしょう。彼らの言いなりの人形?ビッグボスの捨て駒?記憶を取り戻した後もファントムは役割を全うしようとします。これって人形にも捨て駒にもできないですよね。そう、ファントムは自分に忠を尽くした。自分の意志で戦ったのだと思うんですよね。
さて、ビッグボスとファントムについて。これはもう、プレイヤーごとに違うものでしょう。プレイヤーというメタ視点から切り離した、ビッグボスとファントムの関係は表裏一体です。どちらかが欠けてもこの物語は成立し得ない。ではプレイヤーというメタ視点を投じたビッグボスと「ファントム」とは。小島監督が「永遠の空白」と呼ぶものを私は自分なりに定義したいと思うのです。ビッグボスは最後に「こちら」を向いた。そして彼の伝説の中へと戻って行った。ここが前述したこのストーリーの素晴らしい点です。「ミッション46 世界を売った男の真実」で描かれる、別の世界線の提示。それがカセットテープの裏面に記録されている、OPERATION INTRUDER Nxxx(xは隠れていて見えませんが)。これはシリーズ最初の作品「Metal Gear」の中で描かれる作戦名でもあります。そのセーブデータ(物語)はビッグボスの、そしてソリッド・スネークの物語です。だとすればファントムもまた「あちら」へと最後の挨拶をし、自身の物語へと帰るべきなのです。その背と背の間に在るもの。それが埋まらない、永遠の空白なのではないかと思います。

ミッションについて

まあ簡潔に言うと「ゲームばっかりしてないで早く現実に戻れ」なのかもしれませんが(笑)、クリア後もやっぱり離れがたくて止め時をすっかり見失い、そのおかげで達成率100%まで遊び尽くしました。あああ。以下は少し攻略も交えてミッションを振り返ります。

  • 大変だったミッション

「ミッション45 静かなる消失」。怒濤の勢いで押し寄せてくる戦車をとにかく撃ちまくる、というアクション苦手者泣かせだけでなく、使えるミサイルの威力が弱くて戦車が固い、コンティニューしてもミッションから出られなくて強制進行(初回のみ)など、たぶんこのシリーズ初の嫌気がさした瞬間でした。それでも初回はチキンキャップなしでクリアしたけどね。というか、あれ見つかるとかそういうことじゃなくて、立ち回り下手すぎて一発即死のクリティカルな攻撃が避けきれなかったのが敗因だと思いますね…。
あとは「ミッション30 民族浄化」。OKBゼロの中枢に侵入するステルスミッションですが、通過点のゲートの真下で段ボールかぶったまま身動きとれなくなったのはいい思い出w

  • 怖かったミッション

序章以外では、「ミッション20 声の工場」。工場内が怖すぎてスネークさんの背中だけみてました。怖いならさっさと進めばいいのに、びくびくしてゆっくりしか進めないから余計怖かったなあ。

  • 楽しかったミッション

「ミッション30 [SUBSISTENCE]通信網破壊指令」初回やったら、あれ?何にも持ってない!とびっくりして早々に逃げ帰って来ました。完全現地調達、手ぶらでミッション。何回かやっているうちにコツをつかんできて、手前の監視ポストで武器調達、裏の崖から侵入して通信機破壊、ザワついている隙に離脱、でクリアしました。あと「ミッション49 [SUBSISTENCE]進駐戦車隊、東へ」。こちらも武器なし、アイテムなしのミッションですが、途中の集落で指向性地雷を回収して、動き出した戦車隊の行軍を地雷で足止め、戦車隊(隊長&トラック含む)をフルトン回収でクリア、でした。地雷いっこでいけたよ(じまん)

  • 手応えがあったミッション

手応えというか、クリアに1時間以上かかったのは「ミッション29 極限環境微生物」コードトーカーを守りながらスカルズと対決するミッションですね。ちなみにEXTREMEも同様。異形とはいえ人間のかたちをしているものにミサイルとか戦車とかを使うっていう発想がないので、ライフルとハンドガンでちまちまライフを削りつつCQCでマチェーテを白羽取りw、隙をついて銃撃、という非常に手間のかかるやり方でクリアしました。これは攻略本が参考になったので、詳しくはそちらをどうぞ。
もう一つは「ミッション40 [EXTREME]静かなる暗殺者」。クワイエット離脱後にもしかしてこれをクリアしたら戻る?と思って、がんばってクリアしました。ちなみにこれをクリアしてもクワイエットは戻りません(笑)貰えたアイテムは良かったけど。スモークグレネードも使わず、薬物系アイテムも使わず、やったのは強力なスナイパーライフルの開発だけで、一撃でもくらったら即ゲームオーバーの緊張感の中あの探り合いをするのはほんと大変でしたが、クリアしたときの達成感は一番でした。かなり偶然に助けられた感じもするけど。

  • わりと簡単だったミッション

「ミッション31 サヘラントロプス」、EXTREMEも同じく。見た目に反して意外とダメージ与えやすいのと、巨大なので攻撃が見切りやすかったです。うーん、これが一番「メタルギア」っぽいイベント戦なのにちょっと残念かも。

  • 感動したミッション

「ミッション45 静かなる消失」クリアが大変だった分、思い出ぶかいミッションになりました。饒舌に自身の生い立ちや計画を語ったスカルフェイスと、沈黙を守り行動だけで意思を示し続けたクワイエット。二人とも言葉を奪われたはずなのに、この両者の間にある大きな差がここでは語られているのだと思います。


なんだか全然書ききれていないような気がするけど、この辺で終わりにします。いくらブログといってもきりがないからね。

最後に、小島監督および小島プロダクション、MGSV:TPPの開発に関わったみなさんへ。
素晴らしいゲームでした。いや、ゲームです、かな。自分でもこんなにのめり込んで遊ぶなんて、とびっくりしています。いつでも手軽に遊べるゲームも楽しいけれど、クリアできるかなあとドキドキしたり、キャラクターの演技や言葉に感動したり、面白い仕掛けに笑ったり、そういう体験ができるゲームが好きだなあと改めて思いました。ありがとう。このゲームは私にとって最高の体験でした。