マッチ箱のAI

マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話

マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話

なんだか去年あたりからSF圏じゃないところでAIが流行りだしてきてますね。そういやSFでAIもの、っていうと沢山ありすぎて、「これだ!」っていう作品がなんだか思いつかないんですよね。AI単体というよりロボットや車などに組み込まれてたりして、AIそのものをがつっと描いた作品がぱっと思いつきません。ま、忘れてるだけかもしれないけど。


さて。マッチ箱のAIです。作者は初期のPSゲームの中でも一風変わった作品「がんばれ森川くん2号」の作者の森川さんです。これ、やったんだけど森川くんが全然学習してくれなくて途中で諦めました。
仮想的な空間の中でソフトウェアに学習させ、プレイヤーがクリアするのではなく、ソフトウェアにステージをクリアさせるというもの。


この本ではあまり難しいことは言っていません。が、さらっと読むには内容がちょっと複雑です。まあこういうのは実際にマッチ棒を用意して手を動かすのが一番いいんだけどね。遺伝的アルゴリズムの説明でRPGゲームのモンスターのレベル調整を例えに使ったりして、例示が身近で楽しいです。絵もかわいいし。


詳しい内容は本に譲るとして(まあ、ちゃんと理解できているわけでもないので)、それにしても理論の塊のコンピュータがこういう「なんとなく正解っぽい(近似解)」という曖昧さを持ち得るというのが不思議で楽しいですね。
これまでのコンピュータは頭でっかちの融通が利かないけど理論の面で絶大な信頼の置けるツールでした。AIはそんなコンピュータとの付き合い方を変えていくんでしょう。基本的には難解なAIをちょっと身近に感じる、良い本でした。