物語を読むっていうこと


最近また読み直してました。

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

伊藤さんの長編小説三作がアニメーション映画化されたということもありますが、以前に読んだ時よりもシーンのイメージが浮かぶようになったと思うんですよね。まーでも、超のつく映画ファンというかシネフィルでもある伊藤さんの作品は元から描写の視線が映像的ではあるんですが、他者の手による映像化、こういう解釈もあるなあという幅によってなんとなく読んでる時の想像も広がったような感じがします。


それはアニメーションだけではなくて、ゲーム「METAL GEAR SOLID V The Phantom Pain」をクリアした後に短編「フォックスの葬送」を読み返すと今までとは少し違う読後感がありましたね。この短編はソリッド・スネークの宿敵でありながら友人でもある奇妙な関係のフランク・イェーガー、その育ての父であるビッグ・ボスが語るフランクの過去という、ストーリーのミッシングリンクを想像した二次創作です。どちらかというとMGS3のアフターストーリーなんですが、これゲームでやりたかったな。MGS3もアクションはすごく良かったけど、MGSVの操作や天候の変化などのアクションにこのストーリーだったら相当良いものになったんじゃないかなと思います。


映画では007の二次創作、「From the Nothing, With Love」は「スカイフォール」を鑑賞するとなんというか「ああああ。。。」という感じになります(笑)同じく007二次創作の漫画「女王陛下の所有物」にも登場するMと007の関係がすごく良いんだよね。もしこの短編のように「写本」として接していたらと想像するだけで、スカイフォールまた観たくなりますね。映画はQがまんまオタコンの外見で出てきているし、なんだか思うところがたくさんできてしまうな。


読み返す小説は一文字も変わることなくいつでも同じ物語を語ってくれます。読み手は日々、年々歳を取り、以前に読んだ時とは少しずつ異なる状態(ステータス)で物語を再生します。
なんでしょうね、これを書きながらもやっぱり面白くてついつい読みふけってしまいました。そういう魅力、物語そのもののちからは色褪せないな、とまた今年も思いました。