シェイプ・オブ・ウォーター

映画館ですっかり見逃してたのをやっと見ました。
現代のお伽話の優しさと、迫害される者たちの残酷さが絶妙に混ざり合ったお話でした。なんと言っても一番共感したのは、アパートの隣人ジャイルズですかね。半魚人の神性とイライザの無垢さの外側で、ひっそりと二人の愛情を見守る存在。この二人はこの物語の中でも取り分けて「外側」にいる存在なんですよね。で、ジャイルズというのはそういう外側と、ストリックランドのように社会的に成功している内側との間の、すごく中途半端なところにいるんですよ。彼は内側に戻ろうと頑張っているけど、いつも弾かれてしまう。それなのに半魚人とイライザのように俗世から懸け離れた外側にも辿り着けない、凡庸な人物です。しんどいな、と思うんですよ。彼はそういう中途半端なところで頑張るしかない。なんだかそれが刺さる。美しい物語に寄り添う、平凡な人の視点。そこがすごく印象的でした。