天冥の標 10 青葉よ、豊なれ PART 1

 

 
さて。天冥の標シリーズもいよいよ最終巻です。
思えば8年くらい?もこの壮大な物語を追いかけてきたので、なんというか結末を読みたい気持ちとまだ終わってほしくない気持ちが半々くらいでなんとも複雑です。でも読むよ!

 

もうここまでくるとネタバレをせずに感想なんて書けないので以下ネタバレで

 

 

 

 

 

 

 

 

 


9巻の最後でようやくメニーメニーシープ、救世群、地球人と三者が一同に会してストーリーがおおよそ一本に繋がるという展開をみたわけですが、いやーここまで来るのほんと大変だったねえ。もうね、1巻でイサリが単独で行動してた時は絶望しかなかったよ。。こんなに怨恨、というか正しく宿命的な怨念に絡め取られたプラクティスとメニーメニーシープの人たちと、理解し合えるとは。。というか、序盤ですごく冴えない感じだったカドムがあんなにかっこいいなんてなあ。


で。今作ではこれまで謎だった地球側の事情も明かされつつ、ミスン族の母星へ向けて進行しつつ、他の知性生物との遭遇・戦いとこれだけでもすごいことになっています。いやいやエンルエンラとの戦いはアレだよ、クラスで目立たない子がヤンキーと喧嘩するようなもんだよ!(スケールが小さくなってすいません)
一方でカドム、アクリラ、イサリのカップル、ではなくトリプルの関係もぐっと深まったりして。三人でご飯を食べるシーンのイサリの気持ちがね。彼女は姿が変わってしまうんだけど、文として読んでいるとふとした瞬間に元の女の子が浮かんできてそれがいっそう切ないんだよね。カドムめ、罪作りなやつだな。
このパート、要所要所でご飯を食べるシーンがあるんだけど、なんだろうね。人間の文化の中ではやっぱり食事を共にするって、原始的なコミニュケーションであり、すごく強いなと思うんですよ。同じものを食べなくても、その時間を匂いや温かさを共有するとかでも。この人と話ができる、と思わせるものがあると思うんですよね。まあそれは人間の、人類の中でしか通用しない方法なんだけど。
そんな人類はミスン族を始めとして、超巨大樹木生命体?やらがひしめくブリッジレスの面々とどう関わっていくのか、人類を遥かに超越するブリッジレスでさえ食い止められないオムニフロラの侵攻にどう対抗していくのか。
なんだか頼りになるんだかならないんだかよくわからないミスン族たちの活躍もすごく気になるし(ほんとこの人たちは人類を翻弄するからなあ!)、次パートもすごく楽しみです。