シュガー・ラッシュ:オンライン

観てきました。今年の映画館初め(遅)

 

ゲームの世界の悪役ラルフとヒロインのヴァネロペのでこぼこコンビの冒険物語。

 

このアニメーション映画すごく絵柄がカワイイんですよ。さらにゲームというかデジタルな世界が舞台になっていて、キュートでちょっとドライな世界観がすごく好みの作品です。

そしてお話がなかなかにシビアなんですよね。お話というかラルフというキャラクターが。彼は悪役です。その役割はどうやってもひっくり返すことはできなくて、その世界(ゲーム)が続く限り彼はその役を解かれることがない。ずーっと嫌われ者の悪役。

でもそんな悪役だって親友は作れるんだよ、っていうのがたぶん前作の希望だったと思うんですよね。

 

そして今作はとうとう狭い箱庭のようなゲームの世界からオンラインの世界へと二人は飛び出していきます。

いつものキャラクターが同じ挨拶を何度も繰り返す歩き慣れた世界ではなく、デジタルの存在も生身の存在も等しくビットに置き換わり、誰も彼もが他人である世界。このシーンでは実在のWebサービスが仮想的な建物のかたちで登場してたんだけど、これってめちゃくちゃかわいく装飾されたギブスン的サイバースペースだなあと感激したんですよね。企業サイトの間を人(データ)が流れたりどこかへジャンプしたり。高くそびえるアマゾンやグーグルの城は生半な電脳カウボーイたちじゃ手は出せない堅牢さを備えてるみたい。

まあそんなことは良いとして、初めて触れた「外」の世界に二人は真逆の感想を抱きます。ラルフは早く元の閉じたゲーム世界に戻りたいと思い、ヴァネロペはたくさんの刺激溢れる世界に魅了されてしまう。でもそこは多くの他人が存在するインターネット。二人のそれぞれにとって良いことと悪いことに翻弄されるのですが。あとはネタバレるのでこの辺でやめとくけど。

 

この映画、すごいと思うのはラルフは徹底して「悪役」なんですよね。どうやっても世界を救う側には回れない。どうしても世界を「壊す」ことになってしまう。それが彼の存在そのものだから。なんだろうな、ラルフはなにも壊したくないし、怒りたくもない。ただ同じ優しくて退屈な毎日を繰り返したいだけなんだと思うんですよね。でも彼はいろんなものを壊してしまう。それがすごく切ない。なんか見た目に反していろんなものを背負ってるんだよ、このキャラは。そうなんだよな、あんまりこういう耐え忍ぶ、と言ったらちょっと大げさだけどいろいろ我慢して、飲み込んでるキャラっていない気がするんだよね。たいていのキャラは苦難を乗り越えて努力して次のステップに行ってしまうけど、ラルフはずっと同じところにいるんですよね。成長しないし、変化しない。ゲームの宿命としてリスタートしたらスコアはゼロになるように。

それがなんだかもう大人になって成長も変化も(ほぼ)なくなった側に響くような気がしました。ラルフ、いいやつだよ。

 

あ、でも前作でも今作でもラルフってちゃんと作ってるし、守ってるんだよな。その一点を崩さないところがすごく好きなんだよね。

 

すごくどうでもいいけど、お話がなんか攻殻ぽい気がした。。