天冥の標 10 青葉よ、豊なれ Part3

 

 

およそ10年に及んだ天冥の標、完結です。

完結のはずなのにお話がすごく躍動していて、ほんとに終わるのかってくらいやばかった。そうなんだよね、この物語、いろんなところや時間でお話が動いていて、それがあっちこっち繋がったり離れたり、大きな川の支流から源流まで全貌をずいーっと眺めたようなそういう感じなんだよね。なんていうか、ほんとにすごい物語だと思うこれは。(語彙が)

 

以下ネタバレ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずはやっぱり主役三人のことから。 あー。(言葉にならない)いやー。(言葉にならない)もうさー。(言葉にならない)

良かったと思う、反面つらい。つらいのよ、アクリラが。この人はずっとこの先親しい人たちと別れ続けることになるっていうのがね。出会いもあると思うし、別れるばかりでもないと思うんだけど(同じような存在に巡り会うこともあるだろうし)、この物語の最初からずっとキラキラしてどん底の状況でもめちゃくちゃ元気で見目麗しい男の娘が、なんでそんな運命を背負わなきゃいけないのかなあ。本人のセリフにもあるけどもうちょっとあの三人でわーわー言いながら平和に暮らしててほしかった。。

でも、アクリラがそうなってしまったからこそ、あの神事のようなアレが出来たんだとも思うんですよね。身体と精神の交わりのような。そこは本当にね、ああすごいぞ、と。

 

それともう一組のミスチフとノルルスカイン。あー。(言葉にならない)

彼らにしても人間ではないけれども、なにか心のようなそれに近いものがあって、それが発露する瞬間がすごく良かった。単なる生殖の相手というだけではない、というところかな。とんでもない歳月の積年の想いがね。

 

そうなんだよな、この十巻はすごくいろいろなヒト・人じゃないヒトの想いがあって、それが空間と時間を遥かに超えて、なんだかんだ届くっていう、その距離に圧倒されるんだよね。今ここで誰かが考え想ったことが、何光年も先へ、何百年も先へと繋がって行くってこと。科学だけじゃなく、悲しいことが起きないでほしいとか、そんな個人の想いも含めて。それを描くのにうってつけなのがSFというジャンルなんだろうな、と改めて思いました。