最近のことと時間SF

ここのとこ週末はわりとお天気が良くてあったかいですね。めっきり春めくってやつ。近所の公園なんかに散歩に行くと梅らしき花が咲いていたり。というか梅と桜の違いが実はよく分からないんですよね。梅をあんまり見かけないところで育ったせいかなあ。まあどれにしても花が咲き始めると春って感じで良いですね。
というかそろそろ花粉も飛ぶのかなあ。特にスゴイ症状は出ないけど、なんか埃っぽくて苦手なんだよなあ。せっかくこれからいい気候なのに。

 

さて。最近は時間SF「時間衝突」読んでました。去年映画「テネット」が公開した時にSNSなんかでSFファンが「これは似てる」とちょっと話題になったんですよね。異星人との戦争を経験した地球を舞台に、異星人の遺跡専門の考古学者が「今より古い遺跡」という時間的矛盾となる証拠を発見して、というお話。序盤から掴みのいい展開が続くものの、後半はちょっと失速しちゃったかな。SFネタ的には古典力学なので少し分かりやすい?かも。でもお話は時間SFというより、どちらかというと人間には回避することが難しい天災級の問題に対して社会はどうするのか、という社会学的な方が主軸だったのかなあ。 

時間衝突【新版】 (創元SF文庫)

時間衝突【新版】 (創元SF文庫)

 

 

そういや「テネット」を観ていて思い浮かべたの、個人的にはこの二作でした。この映画、何かしらそれぞれのSF体験を刺激するものがあるのかも。。

Self-Reference ENGINE

 

Self-Reference ENGINE

Self-Reference ENGINE

 

 

個人的にとびっきりヘンテコなSF小説を書く作家No1です。それでいて文体がすごくカワイイという。。
突然、時間が整然と流れることをやめた時空のお話。つながっているようなないような短編で構成されているし、何より時間軸がぶっとんでいるのであまり気にせず好きなものから読んでも大丈夫だと思う。未来から飛んできた弾丸が頭に埋まっている、明後日の方向に向かって銃を撃つ女の子と二人のとぼけた男の子のお話とか。今、ちょっと読み返して「まさにこれ!」ってところをちょっと引用してみます。

「僕らにはこう見えるはずだ。リタの頭から逆向きの銃弾が飛び出してきて、狙撃手の銃口へ逆さまに進んでいく。その銃口におさまって、弾倉が逆回転して、撃鉄が上がる」
なんだかよくわからない。
「でもさ、結局のところリタの頭の中に銃弾があるなら、彼女はもう撃たれちまってるってことじゃないのかな」
「それを変えるのが」
ジェイはなんだかまた涙目になっている。
「リタに惚れてる僕の役目だ」

 (Self-Reference ENGINE より)

 


これ、もう映像的に想像できちゃう(笑)それに時間SFの難しさそっちのけで何か青春ものの爽やかさが感じられるんですよね。ここが円城さんの面白いところなんだよなあ。


もう一冊は完璧な涙。

完璧な涙

完璧な涙

 

 
この作家さんもすごく独特で文体がめちゃくちゃカッコいい。
不確定な未来と不確定な過去の境界にあるものが現在という設定を基に人間の持つ感情と時間との関係を説明していく、時間SFでもあるけど思弁SFとも呼ばれるジャンルの作品ですね。この中で未来と過去を同時に観る目を持つ老人が出て来たりするんだけど、テネットでは生身の人間が丸ごと時間移動してたけど、あの装置がめっちゃ小型化して体の一部分、片目だけとか移動できたりしたなら世界はどう見えるのかな、と思ったりしましたね。まああのデカい更衣室みたいなの、なかなか小型化は難しそうだけど。

 

漫画版も出ていて、こちらも小説と同じくらい面白いのでぜひ。

 

完璧な涙 1

完璧な涙 1

  • 作者:東城和実
  • 発売日: 2011/03/10
  • メディア: 単行本
 

 

完璧な涙2

完璧な涙2

 

 

時間SFってループものが多いイメージがあるけどわりとそうでもないんだな。それぞれの作品や時代によって「時間」そのものの考え方が垣間見えるのが楽しいし、時間を一つの流れとして感覚するっていうのが共通事項としてあるみたい。この流れを感じる機能ってそもそもなんなんだろうな。。時間、うーん不思議。。