最近のこと AIとSFのこととか

だいたい月に1度のブログ更新、今月版です。

 

仕事でてんてこ舞いしている間に世の中ではいろいろ動きがあったようで、IT系には全然詳しくない親から「なんかChatGPTってニュースになってるけど?」って話題が出てビックリしました。いやー流行ってるねえ。

一週間くらい前にちょっと触った程度では「まだこんなもんか」とタカをくくっていたけれど、その後いろんな使い方が続々出てきてそう遠くない未来に自分の職業がAIにとって代わるのでは?という危機感が募り始めました(笑)まあこういうのはじゃんじゃん代わって行く方がいいなと思う派なので、カジュアルな危機感だけどね。

 

いやーしかしこんなAIが生きている間にお目にかかれるとは。。もうちょっと未来の話かと思っていたよ。それにAIに関するSFをたくさん読んでて良かったなと思うんですよね。なにかこう、想像の中でAIが日常的に使われている世界を既に経験していることが心の支え?になっているというか。そのテクノロジーが世界をどう変える可能性があるか、ってのをリハーサルしたって感じ。

まあそんなこと言ったらAIに限らず、宇宙に行ったり異星人と遭遇したりタイムリープしたりと、そんな擬似体験「だけ」はたくさんしてるんだけど(笑)

 

こういう、現実世界の延長線上を試しに想像してみる、「SFプロトタイピング」というキーワードが流行ってるけど、個人的には「現実世界にちょっとしたお土産を持って帰ることができるフィクション」のことなのかなあと思ってて。AIで言えば「BEATLESS」(著:長谷敏司)がそういう示唆に富んでいて良い作品ですね。AIは敵でもなく、味方でもなくただ手を離してはいけない道具の一つだってこと。一方で、AIものの名作「戦闘妖精雪風」(著:神林長平)シリーズでは、序盤で「道具から手を離す」んですよね。人間に任せていては危険な仕事は機械を信頼して任せるべき局面があるってこと。

どちらが良いというのではなく、どちらの方法を取るかを常に考え続ける、あるいはどちらでもない方法を選択できるようにしておく、というのがAIに関する作品群を読んで得られた「お土産」ですね。

 

目下この忙しい仕事を肩代わりしてくれる頼もしいAIが今すぐ欲しいとこだけど。しばらくは人力で頑張るしかないかなあ。。

 

ちなみに最近とても良いSFガイドが出たので(上の二作も紹介されてました)、オススメです。SFをよく読む人は既読の本がどう紹介されているかで楽しめるかも。この本の章で、好きなジャンルの「仮想世界・メタバース」には読んでないやつあったから今度読もっと。「つながるリスト」で次のオススメが提示されているのも嬉しい。

 

 

話を少し変えて。

伊藤計劃さんの散文「SFの或るひとつの在り方 ー最高に精度の高いセンサで、現在を捉えること」

を読み返していたんですが、なんかSFプロトタイピングで言われているようなことを既に書かれているのでは?と思いました。上記の散文は「ニューロマンサー」などのウィリアム・ギブスンに関する文なんだけど(ニューロマンサーもSF超入門にありますね)、その中の「いま、ここを最高に精度の高いセンサーで捉えれば、現在を描いても自ずと未来になる。」という一文。これはギブスンの作風についての文ではあるけれど、SFプロトタイピングのSFが備えるべき視点でもあるのかな、と思います。未来っぽくなってきたいまこそ、ここにあるものを精度高く見ていくと自動的にSFになるのかも。そういう視点って楽しいですよね。