大学を卒業したことと苦手だけど好きってこともあるよねっていうこと

2022年度後期で放送大学「自然と環境コース」を卒業しました。
たまにはこういうライフイベント的なものも残しておこうかなと思って。
写真は学位記(の表紙)と、ガリレオ温度計。なんか物理っぽい記念品が欲しいなと思って。

 


経緯

これまでの学歴も仕事も情報系の人です。一方でSFが好きでよく読んでます。SF、自然科学をネタにした部分とか「よく分からなくて楽しめてないかも?」というところもあるのが気になってて、ネットでちょいちょい調べたりもしたんだけどやっぱり基礎から積み上げた教養は必要そうだな、という結論に達しました。イーガンとかさ、さらっとそういうの出てくるからね。。あと、情報系はここしばらく機械学習がアツいけど個人的に量子コンピュータが気になってて、これも情報系の基礎もだけど量子力学とかの物理必須だよなーと思って。でもまあそれほど仕事には直結しないので趣味的な動機です。

 

コースの選択について

情報系の専修学校の単位が二年分あったので(三年次編入すると) 情報系のコースならもっと効率的に単位取れたかもしれないけど仕事とは別のことがしたくて、自然科学系のコースである「自然と環境」を選択しました。なかなか通信制で理系の基礎からやってくれるところが見つからなくて。あと予算もね。。
メインは自然科学なんだけど、他の科目も選択できるので他のコースからも最低1つは科目を取ろうと目標を立てました。この学びのサブスクみたいな感じが飽きっぽい性格にはちょうど良かったかも。

 

卒業まで

トータルで四年半かかりました。
専修学校(二年)があるので三年次編入したら卒業までの必須単位はおおよそ半分ほどになったので、だいたい一学期中に4単位科目ほど取ってた感じです。それでも仕事の繁忙期にかかるとあっという間に講義やら通信指導(中間テスト)やらが遅れがちだったのでこのくらいが限界だったかも。単位はあまり落とさずに順当に取れたので、科目選びもけっこう重要でしたね。基本的には、理系科目は2科目ほどにして、残りを難易度の低い他コースの導入科目とか得意そうな科目にしたりとか、あまり苦手な科目ばかり取らないように気をつけました。落とすとやる気も削がれるからね。。

 

取ったやつ

理系の基礎知識を中心に、「面白そう!」と思ったものは全部取りました。
理系科目は量子力学というラスボスに到達するために必要な武器となる科目のほか、天文学、化学、生物学などなど。面白そう!の方は、文系を中心にほんとちょっとでも興味があったら「やっちゃえ」くらいの気軽さで取りました。導入科目が多かったから、そんなに理解に躓くこともなかったかな。

 

自コース

・物理
初歩からの物理、物理の世界、力と運動の物理、場と時間空間の物理、量子物理学を取りました。
古典力学から、相対論、量子論へと進んでいくんだけど、物理って一口に言ってもけっこうジャンルがあるし、その入り口に曲がりなりにも立たせてもらったのは本当に良かった。古典力学もだけど、電磁気力、熱力学とかをやると日常のいろいろなところで「あ、これ物理」っていうものがたくさんあるんだよね。そういう解像度が上がったのが一番かなあ。机の上に置いていあるLED照明の仕掛けとか、IH調理器がどうして使えるのかとか。内容は本当に難しくて挫けそうだったんだけど、SFで読んだ「三体問題」とか「シュレディンガー」とか用語が出てくる度にテンション上がったりして、なんとか最後まで受講できました。SFも前よりちょっとは分かるようになったし、イーガンの小説の最初の方をさらっと読めた時は感動したわ(笑)

 

・数学
初歩からの数学、入門微分積分、入門線形代数微分方程式、解析入門を取りました。
物理とはきっても切れない科目なので。数学は初歩からもうすでにやばかったな(笑)ずーっと「やばい」しか言ってない気がする。でも苦手なのはそうなんだけど、不思議な魅力があるんだよね。1ステップずつ解いていけば解にたどり着く、っていう部分はコンピュータプログラミングに似てるからかな(プログラミングは好き)まあ、数学って解がある方が簡単な部類なのかもしれないけど。。全然関係ないけど、数学の演習解いている時によくB'zの曲を聞いていました。えーと確か稲葉さん、数学の教員免許か何か持ってるんだよね。ちょっとあやかろうかなって。ちなみに一番よく聞いた曲はもちろん「Zero」です。

 

・その他
天文学は、子どもの頃ちょっと天文をかじってたことがあって好きだったなあと思って取りました。宇宙もいまアツいよね。物理にも関連する重力波の研究もしているみたいだし、太陽フレアのような磁気嵐情報も普通に天気予報みたいに流れてるし。深宇宙も楽しかったけど、まだまだ太陽系知らないこといっぱいあるなー。

 

他コース

文系を中心に取りました。こちらの科目は趣味的な動機が多いかな。

 

言語学、日本語
新しい言語学、日本語学入門を取りました。
言語学、言語SFってジャンル?があるくらいSFではお馴染みなので。言語学、古典的な内容ではなく最近の研究を中心にしていて楽しかったな。日本語学は、日本語の使われ方とか文化と結びついたコマが興味深かったですね。

 

・人類学
総合人類学としてのヒト学、「人新世」時代の文化人類学を取りました。
文化の考察もSFではよくあるなと思って。文化、って一言では語り切れないくらいいろんな切り口があって、それぞれに研究している分野があるんだな、というのが驚きでした。個人的には、オカルトとか都市伝説も研究対象になっているところが妖怪好きに呼応するところがあったなー。

 

・文学、評論
世界文学への招待、文学批評への招待を取りました。
招待されまくり。でもこれは本当にいろんな世界を紹介してもらった科目でした。文学世界にはいろんなジャンルがあって、思いもつかないことをテーマにしていたり、視点があったりしてフィクションって何だろ?ってことを考えた科目でしたね。評論も普段はここに評論ほどでもない感想を上げているけど、もっとアカデミックに整理された手法を知ったのが良かったな。文学作品の解像度を上げるためのツールを手に入れたような感じ。

 

・語学
フランス語を取りました。
英語はずっとやってきたので飽きてたし、フランスの漫画?バンドデシネとかちょっと読めたらいいな、とかそんな動機で。
数詞や女性、男性の使い分けで発狂しそうになったりしたけど(笑)、ちょっとした単語くらいなら聞き取れるようになってネトフリでドラマやアニメ観たりして娯楽方面の間口が少し広がったのが良かった。バンドデシネはまだ辞書を引いたりネットで調べないと読めないけど(笑)


卒業してみて

仕事とは全然関係ない科目ばっかりだなと思っていたんだけど、たまたま今の仕事でわりと数学系の知識が必要だったりして多少は役に立ったかも。でも基本的には1円にもならない趣味としてやって、趣味であるSFや生活が楽しくなったのが一番かなあ。これまで絶対ムリだと思ってた本を気軽に手に取るようになったし、科学系のニュースとかは以前からも多少注目してたけど、前よりちょっとは理解できるようになったし。やって良かったな、大学生。

 

それと、やっぱり理系は苦手なんだな、という自分の特性を再認識しました(笑)文系の方がきっと得意なんだよね。情報系もたぶん得意ではないけど生業にしているので、苦手だけどなんか好きっていうのがあるのかもしれない。料理でも苦味の方が美味しく感じたりすることもあるし、葉物野菜は春菊が好きだし(何の話?)


やってみたいことと得意かどうかってのが関連しないんだよね。得意じゃない分、そこにかかる時間も過程も増えるんだけどそれ自体が楽しいというか。そういえば入学しようとしてた時もやってみたいけど大学課程だし難しいかな、と躊躇したんだけど「まあいいや、できなかったらやめよ」って気軽にやったのが良かった気がします。

 

次は

性懲りもなく、数学の科目取りました。まだまだもうちょっとだけ大学生やります(笑)他の科目も聴講したいしね。