映画オールタイムベストテンに参加します!

映画オールタイムベストテン:2017 - 男の魂に火をつけろ!

オールタイムベスト。映画に限った話じゃなく、他のジャンルでもきっと悩ましいテーマだと思うんですよね。これまで観てきた中での自分の「これだ!」を厳選するっていうこと。基本的にどの作品も思いっきり楽しんでしまうのでこれが本当に難しいのですが、個人的に以下の基準を設けて選んでみました。


1. 1回だけじゃなく何回か観直している
2. 人生のいろいろな局面で観直したいと思った内容だった


のどちらか(または両方)に該当する作品を選びました。なにしろオールタイムだからねえ。それでは作品のリストです。順位は付けられないので「順不同」一律5.5点とします。


うーん、オールタイムと言いながら割と最近のものに偏ってますね。。だんだん覚えていられなくなってるのかなあ。悲しいなあ。
それでは個別にコメントしていきます。

これ、何回観てるんだろう?もう分からないくらい観てるんですが、なにか自分の存在意義に根拠を見失いそうな時とか、そういう心許ない時に観てる気がします。
この作品の主人公、素子に感情移入するというよりも似たような状況の人を俯瞰的に見るような。。強く心を動かされるわけではないところが、何度も観てしまう要因かもしれません。一番好きなシーンは多脚戦車戦の直前にヘリに退避を命令するところかな。プロの冷静なやりとりなんだけど、素子の孤立が一層際立つシーンがひんやりとしていて好きです。

  • メッセージ

映画上映時とBDで観直しました。内容的にも人生を俯瞰するところがあったりして、この先なにか人生の大きなイベントがあれば観直したいなと思う作品です。それに大好きなジェレミー・レナーさんも出てるし。原作の「あなたの人生の物語」もすごく好きなので、映画の神様からのプレゼントなのかな?っていう個人的に特別な映画ですね。一番好きなシーンはファーストコンタクトのシーン。未知の文字のデザインとかすごく好きです。

ゲームが好きなのでこういうゲーム的リアリティをコメディに取り込んだ作品が大好きです。特に一番最初に対決するインド人のマシュー・パテルのダンスがやばい。あれは毎回笑ってしまう。ラブコメ要素とゲーム要素をうまく繋げた「continue?(続ける?)」とか、ぐっとくる演出がたっぷりあって大好きです。これはなんか退屈だなーって時によく観直しますね。

説明不要、というか説明できない映画。たぶん劇場で三回くらい観てる。血みどろの闘争と狂乱の爆走の中にも物語を読み出せるところがなんといってもすごいんですよね。大人しく座っているはずの観客をスクリーン(画面)の内側に引きずり込んでしまうエネルギーに満ちた作品です。一番好きなシーンはフェリオサとマックスが最後に軽く頷き合うシーン。粋だ、と思いましたね。

SF映画ってあまり説明が親切ではない、分かりにくいものもあるんですけどたぶんこれもその一つ。いろいろなメタファーを解釈しながら観ていくスタイルは「2001年宇宙の旅」の後継的な作品だと思います。宇宙空間にヒトが放り出された時の物理的な弱さと生き延びようとする精神的な強さが素晴らしい作品でした。一番好きなシーンは大気圏突入の一か八かの時に主人公が「どんな結果になってもいい人生だった」と言うシーン。

若い頃に流行ったんですよ、ミニシアター系映画。まあファッションみたいな感じで観に行って、やっぱりよく分からないまま帰ってきた記憶があります。でもフェイ・ウォンはとても可愛かったし、トニー・レオンはめちゃくちゃカッコよかったのはすごく印象に残っていますね。恋愛ものというほどストレートな描き方ではなく、曖昧なままふわふわと距離を縮めたかと思うと急にパッと離れてしまう刹那的な冷たさもあって、若いころにしかできない関係の持ち方がすごく素敵でした。印象的なシーンは、トニー・レオンの住んでいるアパートにこっそり入り込もうとしたフェイ・ウォンが見つかった瞬間に足を攣って動けなくなってしまったのを、呆れた顔をしてトニー・レオンがソファに座らせてほぐしてあげるところ。そういえばこの映画、キスシーンすら出てこなかったと思うけど肉体的な接触の数少ないシーンだったかも。

海炭市叙景 Blu-ray (通常版)

海炭市叙景 Blu-ray (通常版)

名前は海炭(かいたん)になってますがロケ地は函館で、そこで生きる人々を描いた作品です。これを地元の函館市の映画館で観られたのはすごくいい思い出ですね。すごく地味というかけっこう暗いエピソードが多いんですけど、なんというか函館って観光地としてはとても華やかなんですがやっぱり地方都市の閉塞感というものが根強くあって、そういうところが限りなく素に近い感じでスクリーンに現れていてそのリアリティが印象的でした。そんな閉塞感の中でもちょっとした笑顔があったりと、完全に暗くはないんですよね。それが薄い曇り空を背景にした臥牛山(函館山)のシーンとして象徴しているような気がして、忘れがたい映画です。

リタイア後、というのはまだまだ先だしなんといってもクライシス真っ只中の年代らしいので(笑)こんな素敵な定年後生活を送れるとは思えないけど、生きている限りいろんなことがあるなあとしみじみ思う作品です。初めてのことに戸惑うのはなにも若いころの特権ではなくて、年を取ったって初めてのお勤めは緊張するし、どんなに恋愛に長けていたって相手とは初めての関係に踏み出すわけだし、まして離婚なんて晩年の方が多そうだし。それでもなんとかやっていく、なんとかなる、っていう希望がある作品ですね。好きなシーンというか好きなキャラクターは、マギー・スミス演じる長年メイド長を務めてきた女性。リタイア後に寂しそうに「(ホテルの)こんなに狭い部屋じゃ一時間とかからずに掃除が終わってしまうわ」と呟くシーンが印象的で、仕事を生き甲斐としてきたんだなあと思わせるシーンが印象的でした。

年に一回くらいは余命があと何年、みたいな映画が上映されている気がするんですが、これもそういう意味では余命ものということになりますかね。どうせ死ぬからってなんでも美談になるわけではないし犯罪は犯罪なんだけど、この映画の救いは「どうせ死ぬんだ、なんでもやってやれ!」という気概とは裏腹に、実にささやかな個人の願いが成就するラストシーンにあると思うんですよね。天国の扉を叩く前の、ちょっとした身支度。
あと、地味に男性の率直な願望として3Pってあるんだなーと思った映画でした。

サウルの息子 [Blu-ray]

サウルの息子 [Blu-ray]

これも説明がとても難しい映画です。が、観終わった後もなにか心にすごく残っていて、サウルのあの行動はいったいなんだったんだろうとずっと考えていた作品でした。ナチスドイツの虐殺の最中に、息子の正しい葬儀を望んだ男の物語。虐殺の名の下に名前を奪われ一切の儀式もされることなく死んでいく恐ろしい数の人々と、サウルの息子の一人の死の対比が際立つ作品でした。虐殺のシーンがサウルの背景として描かれている部分が本当に恐ろしくて、敢えて直接的に見せないことでそこで行なわれている残虐さを想像させる演出が見事でした。印象的なシーンは、やっぱりラストのシーンですかね。


はー、十作品となるとけっこう大変ですね。他にもよかったなあと思う映画はたくさんあるんですが、こうして選んでみると「時代や流行に左右されないもの」を基本的に選んだ気がします。人の生き死に、若さや老い、恋愛、アイデンティティの揺らぎ、とか。普遍的なものを丁寧に折り込んでいる作品がやっぱり印象に残るんだなあ、と改めて思いました。


それではワッシュさん、集計をお願いします!