ずいぶん前に本は電子書籍も買うようになったんだけど、なぜか電書の中にも積ん読が増えて行く不思議。。使ってみて分かったけど、場所とらないからセールでまとめ買いして放置ってパターンに陥りがちですね。そろそろ崩していかないと。。
と、言いつつも紙の本もまだまだ買ってます。なんでかっていうと表紙が素敵だから。最近だと円城塔さんの「プロローグ」「エピローグ」の文庫版を買ってしまったり。もちろん電書で既読なんだけど、なんか表紙みてたら買っちゃったんですよねー。
まあそれはさておき読んだ本の感想など。
BLAME! THE ANTHOLOGY
これは執筆陣が豪華すぎてやばい。まだ読んだことのない作家さんの作品もあったり、お馴染みの作家さんの作品もあったり個人的にかなりお買い得な一冊です。
- はぐれ者のブルー(九岡望 著)
このアンソロジーの中で一番好きな作品。人間のはぐれ者と珪素生物のはぐれ者の奇妙なコンビネーションが楽しい作品でした。陰鬱で虚無感で満たされた都市の中に、一瞬だけ現れる青(ブルー)の清涼感と儚さが印象的でしたね。
- 破綻円盤 Disk Crash(小川一水 著)
この作家さんの作品はまず間違いなく面白いので、この作品も安定してめっちゃ面白かったです。本編よりももうちょっとカチッとしたSFでありながら分かりやすいし、言葉遊びの妙も最高すぎてお茶吹くとこだった(笑)
- 乱暴な安全装置 涙の接続者支援箱(野崎まど 著)
かなり漫画のテイストに近いかなーと感じた作品。漫画もそうなんだけど、人情味のあるエピソードと無慈悲な展開ってなんか妙に魅力的なんですよね。
- 堕天の塔(酉島伝法 著)
上記の「乱暴な安全装置」が、展開の感じが似ているなら、こちらは漫画の背景がよく描画されている作品。この漫画の特徴で途方もない時間を秒で表したりするコマがあったりするんですがそういう時間感覚や、人が米粒のように描かれる途方もない巨大な空間の、あのスケール感がうまいなあと思いました。
- 射線(飛浩隆 著)
ちょっと「お?」と思うモノやガジェットから、漫画のイメージに繋げていく技巧がとても楽しい作品。漫画にも登場する超高度AIのような、人間や珪素生物などの小さな個ではなく、巨大な「個」を主軸にしたところも他の作品にはない視点で良かったです。やっぱり霧亥はかっこいいよねー。
全体を見てみると珪素生物がわりと登場しててすごく良かったですね。珪素生物さん、いいよね。漫画とはちょっと違った入り口からまたあの増殖し続ける都市を訪れたような、新しくてちょっと懐かしい「ああーここまだあったんだ」って感じがすごく楽しかったです。
小説 BLAME! 大地の記憶
- 作者: 冲方丁,弐瓶勉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/05/26
- メディア: 新書
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続いてもBLAME!のノベライズ。こちらも著者がめっちゃ贅沢!
お話は基本的には漫画をなぞりながら、時折違う方向へ接続しまた基線に戻ってくる感じです。が、漫画では絵として描かれている部分がすごく丁寧に文字として明記されているので、「漫画よくわからない。。」という方には副読本としての機能もあるんじゃないかなーと思います。もちろん、これは解釈の一つだと思うので「いやー全然こうじゃない!」というのもアリだと思うんですが、個人的にはこの解釈、すごくいいなと思いましたね。霧亥というキャラクターは内面がどうなっているのか分かりにくいところが面白くて、状況に合わせて判断を下している合理的な面もあれば「なんで今それなの?」っていう突然非常識な(笑)判断をしたりするんですが、その結論に至る積み上げが巧いんですよね。完全に機械のような論理で動くわけでもなく、かといって人間のようなベタベタした思想や感情でもなく、シンプルな命題「ネット端末遺伝子を持つ人間を捜すこと」を念頭に、それだけではない関わりを築いていく展開が見事でした。
最後はこちら。
- 作者: 長谷敏司
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/02/24
- メディア: 文庫
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今、アニメも放送中?(アニメが見られない地域。。)BEATLESSです。
以前読んだ時からずいぶん経っているけど、機械学習やらAIやらの文字がメディアに出ない日はないくらいの今の方が、より一層この物語のリアリティがあるんじゃないかなと思います。人間は機械には勝てない、機械は人間の心が分からない。このどうしようもなく明らかな溝を、これからの社会は突きつけられていくことになるはず。機械を恐れ排除するのではなく、機械に従うのでもなく、機械を適切に使う主体であり続けること。ライトノベルのような読みやすさとハードな主題がうまく組み合わされていて、二度目もけっこう一気に読みました。
それにしても前回も思ったけど、主人公の友達のリョウくんが高校生なのにすごく大変な役回りで、読み手が年取ったせいか可哀想具合が増してましたね。。。