2012年をいろいろふりかえる

 
こんにちは。このブログを書いてる人です。早いものでもう年の瀬…ってここまで書いて年を越してしまいました。…明けましておめでとうございます。今年はもうちょっと早めに行動したいとおもいます。
 

  • 映画のこと

 
空中キャンプさん主催の「2012年の映画をふりかえる」に参加しました。今回のチョイスは我ながら渋いというか、女子力の欠片もない3本になってしまいました…。こ、今年はもう少しジャンルを広げていこうかな。

昨年を代表する映画はやはり「桐島、部活やめるってよ」だったのではないでしょうか。多くの映画系ブログのベスト10などでもランクインしていましたしね。残念なことに私は観てないのですが、ツイッター上で「○○、××だってよ」ていうネタツイートはたくさん見かけました。(こっそり便乗してたり)ネタツイートは関係ないとしても話題にのぼるくらい考察しがいのある良作なのでしょう。どちらかというと男性にヒットした印象なので、その辺りの心境が読みとれるか難しそうですが観てみようかなとおもいます。

昨年は、2008年のアメコミヒーローもの対決(と、私が勝手に呼んでるだけですが)の再来で「ダークナイトライジング」と「アベンジャーズ」の二大ヒーロー作品上映の年でした。ダークナイト〜は前作ほどの評価は得られなかった印象ですが、バットマンシリーズというよりも、ノーラン監督作品としてこの監督らしい大作になっているのではないでしょうか。きちんと物語を白紙に戻す潔さは感動的でした。一方、子供の頃に観ていたまんが祭りをハリウッドスケールで展開した「アベンジャーズ」は観ていて本当に楽しかったです。あのねーホークアイがねーちょうステキなの。もうこれ以上書くことがありません。それでいい気がします。この二つの作品は今のハリウッドのヒーローものを象徴していると思います。

それと塚本監督の「KOTOKO」。これは感動とか面白いという以前に衝撃そのものでした。スクリーンから飛び出てくる情動に揺さぶられる、そんな映画体験をしたことがありませんでした。これを観たあとで母性についての考え方がかなり影響されたと思います。内容がすごくて人に勧めにくいし観た人ごとに多様な解釈を持つ映画ですが、この映画を観たことはとても良い経験でした。


  • 本のこと

 
いつもどおりSFばっかり読みました。古典では「エンダーのゲーム」が良かったですね。これ映画化するみたいですし。最近の海外SFはやっぱりパオロ・バチカルピでした。独特の密度の高い描写が面白いです。次の新刊早く出ないかなー。

そしてなんといっても日本SF!今、日本のSFは二つの流れがあるように思います。一つは一般的な「SF」という言葉でイメージされる典型的なSF。小川一水さんの「天冥の標」シリーズや上田早夕里さんの「華竜の宮」など、現在から地続きの未来を描くSFです。そしてもう一つは神林長平さんの「ぼくらは都市を愛していた」や長谷敏司さんの「あなたのための物語」など人間の認識をテーマにした作品。前者が現在に積み上げて行くジャンルなら、こちらは「現在」そのものを進化させていくジャンルと言えるかもしれません。人間の意識が変われば現実は変わる、ということを容赦なく理詰めで突き詰めていく過程はとてもスリリングで楽しかったです。特に「あなたのための物語」はイーガンの「しあわせの理由」のその先へと鋭く切り込んで行く作品でした。これ英語版でも出すべきだと思う。「天冥の標」シリーズも佳境に入ってきたし、これまで読んだことのないタイムスケールで語られる物語がどこに行き着くのかとっても楽しみです。
 
それと伊藤計劃さんの「屍者の帝国」が円城塔さんの手によって完成されました。続きを読めるとは思ってなかったのですごく嬉しかったなあ。もちろん大半は円城塔さんの手によるもので伊藤さんの文は少ししか読めないんですが、彼らは一度「ディファレンス・エンジン」というSF作品のあとがきを一緒に書いているんですね。(「ディファレンス・エンジン」そのものがウィリアム・ギブスンブルース・スターリング二人の共著)その時の悪戯っぽい感じが残っていて楽しめました。最後でちょっと泣かされた。それにこの作品で私は円城塔さんの面白さに目覚めましたね。伊藤さんの文章の巧さとは違う、淀みなく吐き続けられるウソに騙されてしまうようなそんな感じが楽しいです。改めて、作品の冒頭を残してくれた伊藤計劃さん、ありがとうございました。そしてその後を引き受けてくれた円城塔さん、ありがとう。2012年だけじゃなくこの先もずっと永く読み続ける作品に出会えて幸せです。
 

  • ゲームのこと

 
昨年は大ファンのメタルギアソリッド25周年!でしたが新作タイトルがなくちょっと寂しい一年でした。ソーシャルゲームは出てるけど、MGSは小島監督のゲームとして発表される、ストーリーがあるほうがすきです。今年はそういうMGSとは違うけど、メタルギアライジング楽しみですね。体験版ではなかなか苦労しましたが(Easyなのに!)ストーリーもどのようなものになるのかとても楽しみです。あとSF色強いのもかなり期待。
 
昨年一番面白いと思った新作ゲームは「風ノ旅ビト」でした。これはちょっと驚いた。ゲーム中に言葉というものがなくプレイヤーはボタンアクションで記号しか飛ばせないんですね。もちろん背景にも言葉は全然なくて、プレイヤーはかなり自由にすすめることができます。で、なにか敵が出てきて戦ったりするのか、というとそういうものではなくて、かつて高度な文明が発達していたであろう砂に埋もれかけている廃墟を訪れて、その廃墟に隠された仕掛けを起動させながら先に進んで行くんですね。これだけだとなにがすごいのかちょっと分からないのですが、その背景やそのプレイヤーの操作によって明らかになる仕掛けや残された遺跡に描かれたタペストリーが、言葉ではなく語りかけて来るんですよね。博物館や美術館で見るような遺跡物に物語を想像するような、それをゲームという操作可能な世界で自分から掘り起こして行く、というのがすごく楽しい。そしてその物語は誰のものでもない自分だけの想像なのに、きちんと普遍的な外側の物語へとつながっているんですよね。ゲームの操作とストーリーの一致をこんなふうに表現するというのは初めて経験しました。音楽もとても素晴らしくて大好きです。
 
さて。
昨年は個人的にアメリカ旅行をしたり日本各地へ旅行や出張に行ったりとなにかと外に出ることが多い年でした。特にニューヨーク、ワシントンDCはなにか自分の中でかなり重要な位置を占めた出来事だなあと振り返るたびに思います。あんなふうに自由を感じたことはなかったかも。
年も明けて今年もまた少しずつ、新しいことやこれまで続けて来たことで感じたことを言葉にして、記事を増やして行こうとおもいます。
今年もよろしくおねがいいたします。