2014年のこと


さて2014年。既に年頭の記憶があやふやで読み返してみたら、しょっぱなから酔っぱらった勢いで書いた記事に遭遇しました。まあ…そんなに変なことは書いてないけどあんまりやらない方がいいよな。
それでは今年もジャンルごとに1作品を選んで締めくくっていきたいと思います。

今年の映画

今年はぜんぜん映画を観に行けませんでした。えーと劇場鑑賞回数は14本で、うち2本は「攻殻機動隊 ARISE」のシリーズものなので長編映画は実質12本…。いちおうこのブログの紹介欄に「主に映画の感想ブログ」って書いてあるのに少なすぎだなあ。毎年空中キャンプさんの「今年の映画をふりかえる」に参加しているのですが、今年のベスト10は「うわーこれ観てない!」てのが多くて辛かったです。観ておけばよかったなあと一番感じたのは「そこのみにて光輝く」でした。というのもこれ、作品の舞台が地元なんですよね。それに監督は別ですが原作者が同じ「海石市叙景」は好きだったので。「つまんない」と「すばらしい」で評価がはっきりと分かれているところも一度は観てみないとなあと感じさせました。ぐぐぐ。
さて今年の1本を発表する前にふりかえってみると、いつもどおりSF映画ばかり観ていました。やっぱり大きなスクリーンで観るSFは面白いですもんね。今年は「エンダーのゲーム」や「オール・ユー・ニード・イズ・キル」など小説原作の映画化がありました。
特に「オール〜」は原作のライトノベルの雰囲気をばさっと切り捨てて、トム・クルーズを主役に据えるというハリウッド超大作として見事にリライトされた、映画の一作品として素晴らしい出来でした。私は原作のゲームプレイヤーが感じるようなリアリティの描写がすごく好きなんですが、映画は超絶リアルFPSへとトランスフォームしていながら、そのリアリティを持ち続けていたのが印象的でした。ゲームファンとしても面白いところは原作共通でしたね。
そして大流行となった「アナと雪の女王」。映画ファンだけでなく多くの人が鑑賞した作品でした。巡回先の映画ブログでも多様な解釈や感想があって観た後も楽しい作品でしたね。特にid:itottoさんには関連先にリンクしていただいてありがとうございました。

素敵な感想記事はこちら!:
うちに秘めた物語を解放してくれる傑作「アナと雪の女王」を見てきました - itotto’s diary
「エルサの攻撃力はディズニープリンセスの中でも屈指」とかあほなこと書いてしまってちょっと恥ずかしかったけど、あれは観た後のハイテンションで書くのが一番良かったかなあとおもいます。歌もすごくすてきでした。


さあ、いよいよ今年の1本です!

ゼロ・グラビティ

ここまでひっぱといてすっかり去年の作品ですが観たのは今年初めで、これはもうオールタイムベスト級の1本だと確信した作品です。そしてこれは映画館で観て良かった、映画館のあの大きなスクリーンでしかあの感動は味わえないだろうという映画でした。なかなか言葉にするのが難しい作品で感想も上手く書けていないんですが、そのくらい映像で情動に働きかける作品でした。機会があればまた映画館で観たい作品です。

今年のゲーム

今年のハイライトはなんといってもPS4を購入したことです。そんなにゲーマーってほど上手くもないしゲームに時間もかけていないんだけど、PS4ユーザーって一般的にはマニアの部類に入りますかね。まあどうでもいいけど。PS4、やっぱりいいですね。映像やサウンドの表現力の高さも素晴らしいし操作も快適です。超華麗CGなんて売りはもうずいぶん昔に消え去ったような気もするけど、ゲームってやっぱり映像作品である以上それが高いというだけで没入感や視覚の快楽の度合いが全然違うんだなあとつくづく思わされました。まあ遊んでなんぼというところは常にありますけどね。操作性もPS3と比べて柔軟というか、細かい入力を予想通りにきちんと拾ってくれているような感じがします。なんていうかより「思ったとおりに動く」感じがするんですよね。特に「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROS」のPS3版とPS4版で顕著に感じました。ちょっとキー割当が違っていますが、PS4版のスネークさんの方がスムーズに動ける気がしましたね。これは個々のゲームのチューニングもあると思うけど、同タイトルで比べてみると一層分かり易いですね。
そして今年はゲーミングプラットフォーム「Steam」でもゲームをやってみました。最近はPS3PS4XBOXの他にPC版も出すタイトルをけっこう見かけますね。うちのMacではリアルタイムな操作性がシビアに要求されるアクションなんかはちょっと無理ですが、アドベンチャーなどじっくりできるタイプなら大丈夫みたいです。まあコントローラーもないしね。初Steamタイトルは「The Wolf Among Us」でした。面白くてPS4(欧米)版も買っちゃったよ。選択肢から主人公の行動を選んでいく形式のゲームで、ゲームのスタイル自体は普通ですね。特に新しいものはないです。ただこのゲーム、選択がゲームのコミュニティで共有されてゲームの中間で他のユーザーの選択状況が表示されたり、コミュニティで語ったりできるソーシャル要素がありました。ほー。ストーリーもゲームのシナリオにしては、完全に善や悪と言いきれない曖昧な部分を描いていて、いい意味で議論を呼ぶものになっているのも面白いところですね。アドベンチャーは進化してるよほんと。現在は英語版のみですが(なのでシナリオも実は正確に把握できていないかもですが…w)いつか日本語版が出るといいなあ。


さてそんな今年の1本は…

ウォッチドックス

当然、PS4版です。もうねーこのゲームの舞台であるシカゴ(仮想)に住みたいとすら思った1本でした。ハッキングを武器に己の復讐を果たすため、マフィアとの抗争に挑む一人の男の物語。ゲーム上でのハッキングの愉快さと、オーソドックスなガンアクションやカーチェイス、そしてなによりステルスゲームの緊張感のバランスが非常に優れた作品でした。それに完全新作というのも嬉しい。こういうゲームがやりたかった!
それにゲーム中に流れる曲が実在のアーティストのもので、ここで何人かのアーティストを知って実際にアルバムを買ったりしましたね。特にRase Against の Help Is On the Wayが気に入って、刑務所への潜入・脱出ミッション(こういうあたかも映画のようなミッションが豊富なのも良かった)の終盤、何度やってもクリアできなくて諦めかけていたところへ偶然この曲がかかって、思わずテンション上がってクリアできたのは、これまでのゲームプレイの中でもちょっと感動的な出来事でした。なんかゲームに励まされた(笑)


そして今年のキャラクター・オブ・ザ・イヤーはシカゴの狂犬(笑)エイデン・ピアースさんです!


わりと年が近いせいか(アラフォー)、「いい年してなにやってんのもう…」と言いながらもついつい彼の戦いの物語に没頭してしまって、なんていうかだめんずに惚れるってこういうことなのかなあ…と思いつつめっちゃ楽しみ尽くしました。アメコミヒーローのように変身したり武装したりするわけでもなく、「ネットワークに接続することが武器」(Connection is our wapon)という頑に現実から離れないリアルさと、行動の中心に傷を抱えているナイーブなキャラクター像が大好きです。それに日本語吹き替えの森川智之さんがこのキャラクターの魅力を引き出していて素敵でした。英語版より日本語吹き替えのエイデンの方が好きだなあ。

今年の本

映画は観ていないかわりに本はけっこう読みました(当社比)去年末にKindleを買ったのが大きかったですね。これで本棚の余裕を気にすることなく本が読める!と思ったのに、この前大掃除をしたら見事になくなってました…。あれーどこいった本棚の余裕。
今年はノベライズが多かったかな。ゲーム「メタルギアソリッド」からは「スネークイーター」と「ピースウォーカー」、小説版ドラえもんに「秒速5センチメートル」。「秒速〜」は感想を書こうと思ったのですが、思うところが多くてうまくまとまりそうになかったので書きませんでした。このブログはあまり自分語りには使わない方針なんですが、その辺をうまく切り分けられそうにないので。ノベライズの「別の視点でストーリーを語る」という点は感想ブログにも通じるところがあって、オリジナル作品の批評的な視点が楽しいですね。「このシーンにはそういう意味もあるのか」とかいろいろ気づくことが多くて、より原作も楽しめるようになったと思います。
一方で今年は神林長平さんの著作を積極的に読みました。今年の始めに「戦闘妖精雪風<改>」を読んで「これはすごいぞ」と思ったのがきっかけでしたね。なんだろう、ここまで読んでて評価する言葉が全然出てこないんだけど(笑)、理詰めで完全に叩きのめされる清々しさというか、淀みなく隙間なく語られる物語の独立性と強度というか。専門外の人には理解しにくい言葉を使うと、きれいなプログラムのコードを読んだ時の快感に近い、ですね。うん、これが一番しっくりする。コードがコンピュータを動かすように、言葉が想像を駆動する。作家としては当たり前のことなのかもしれないけど、その言葉の選択や並びが私にはとても心地いいんですよね。
そして今年も「天冥の標」シリーズ絶好調です。ついこの前新刊が出たばかりで早速読みましたよ。作家さんの中には何年もシリーズものの新刊が出なくて嘆いているファンの人もいると聞きますが、このシリーズは早いよ!ていうかこんなに早くて大丈夫なのかとちょっと心配になるくらい。ブログを振り返ったら今年は3回感想を書いてますね。長期のシリーズものを追いかけるのが苦手で、しかも内容を忘れてしまいがちな私には嬉しいですが。シリーズはまだもう少し続くようなので未読の方はぜひ。まだ間に合うよ!


さてそろそろ今年の1冊です。

メタルギアソリッド ピースウォーカー


この作品がデビュー作という野島一人さんの「メタルギアソリッドピースウォーカー」ノベライズです。ベースのストーリーは当然ゲームに倣っていますが、個々に挿入されるエピソードとその構成力がとてもデビュー作とは思えない、素晴らしい作品でした。なにより野島さんの「語り」で描かれるピースウォーカーの物語がよかった。オリジナルのストーリーは、10年前に最愛の師匠を暗殺するミッションを遂行したスネークが、その亡き人を利用する組織を追い、自らも組織を率いて戦いを挑むというものです。そこには自ら組織を立ち上げていくボスとしてのスネークと、10年前の傷を抱えたままの一人の男としてのスネークが揺らぎながら存在しているのですが、それがすごく印象に残りましたね。ゲームをやっている時には気がつかない、戦っている中にわずかにしか見えてこない、「スネーク」の内側。それが描かれているのがとても嬉しかったです。



いろいろ書いてたらめっちゃ長くなってしまいました。普段からこのくらい書けばいいのに…。今年は10月くらいにがんばって更新日数を1000日にしようと思ったのですが、すぐに更新できなくなって挫折しました。ぐぐぐ。まあこれまでどおりのペースでがんばります。一方で多少ネガティブなことにも踏み込んで書くようになりました。「面白い!」「よかった!」っていうのも正直に書いているけど、ネガティブな気持ちにも正直になってもいいんじゃないかな。


さて今年このブログを読んでくれた方、ありがとうございました。あんまりトレンドに触れない、ステルスなブログですが(笑)検索ワードなどを見ると興味のある方はそれなりに居るんだなあとしみじみ思います。ネットは広(略)


それではみなさま、良いお年をお迎えください。