最近のこと


ちょっと前まで気温が低いなあと思っていたら急に暑くなったりして、なんというかもう少し滑らかに季節を移動してくれないもんかと思います。まあそんなこと言ったって自然のことだし、しょうがないんだけどね。


SF作家ハーラン・エリスンが亡くなったそうです。彼の著作は「世界の中心で愛を叫んだけもの」と「死の鳥」を読んだだけですが。ってあれ、ネットをチェックしたら新しい翻訳も出てるのね。彼の作品は難解で文脈が読みにくい部分があります。最初読んだときはよく理解できなかったなあ。そしてこれがすごく特徴的なんだけど、邪悪なんですよね。うん、人間の悪いところをフィクションに昇華させる技巧が素晴らしい。彼の作品を読んでいると自分の「悪意」が刺激されるというか、ああちゃんと悪意があるなあ、と自覚するんですよね。悪意を楽しむ感じで。現実では悪意って適切に処理できることが少ないというかほぼないから、こういうフィクションでバランスをとるしかないんですが、フィクションはフィクションでなかなかこういう「邪悪」な作品が少ない。んー探せば色々あるんだろうけど、この心地いい邪悪さを備えているのって、他には映画だけどデヴィット・フィンチャーの作品とかかなあ。冷酷な、とも違うんですよね。対象に対してものすごく情熱があるけど、邪なベクトルから接しているというか。
私にとってはそういう、他にはない楽しさを与えてくれる作品を生み出す、稀有な作家でした。新しい翻訳も読もうっと。



ゲーム「Detroit become human」がやばいです。面白すぎ。状況に合わせて表示される選択肢を選ぶことによってストーリーが分岐していく、マルチシナリオなゲームです。この開発元からは「Heavy Rain」や『Beyond Tow Souls」などがリリースされていて、ストーリーの奥深さや選択肢の絶妙な難しさにハマってどちらも楽しみました。
で、デトロイトです。主に三体のアンドロイドの主観をザッピングしながら、主人である人間と隷属するアンドロイドとの関係を描きます。選択によって友好的となるか、敵対するか、また社会全体からみた人間対アンドロイドだけでなく、個体と個人という結びつきが大きくストーリーに関わってくる部分もすごくいいんですよね。いやーほんとね、すごく練られてるし相変わらず「こんなの選べないよ!」って選択肢が絶妙なタイミングで出てくるし、心揺さぶられまくりです。
なんだろうね、人間以外の知性が登場した時の混乱をアンドロイド(新しい知性体)の側から描いているんだけど、私個人はむしろ人間の方に興味があってアンドロイドが予期せぬ行動を起こした時のストーリーも見たいなと思うんですよね。この作品に登場する、アンドロイド嫌いのハンクの視点というか。いや、でもこれってプレイヤーの選択そのものが「人間」の選択でもあるのか。
この作品をプレイしながらSF小説の「BEATLESS」と比較していました。新しい知性体の在り方や(私はBEATLESSの「心ないもの」の方が好きだけど)、知性体の社会的な立ち位置も全然違うんだけど、「人間とアンドロイド(AI)はどう関係していくべきか」というテーマは、似ている点や別の視点があるんじゃないかなと思うんですよね。人間が別の知性に対して、心を開くにしても閉ざすにしても、それを人間はどう自分たちのストーリーに回収していくのかっていうこと。
それにしても分岐が多彩すぎてやばい。もう何十時間やってるか分かんないけど、分岐が全然埋まらない。主観のキャラクター以外には好感度があって選択によって上がったり下がったりするんだけど(さらに好感度が高くないと出てこない選択肢もあったり)こんなに好感度気にするゲーム、ときメモ以来だよ!
カジュアルなモードを選べばアクションはさほど難しくないんだけど、これはしばらくハマりそうです。。やばい。