伊藤計劃さん、ありがとうございました。

まだちょっと、落ち着いて書ける状態ではないけど。
http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/20090107


伊藤計劃さんのことを初めて知ったのは、MGSのファンサイトを巡っていた時でした。MGSの後、MGS2の発売前くらいかな。ゲーム攻略のサイトはいくつかあったけど、ストーリーについて述べているのが印象的で、今は見る事が出来ないけど、そのサイトに書かれていた考察や蘊蓄が面白くて、ああ世の中にはすごいファンが居るんだなあ、と思いました。それに小島監督作品だけじゃなく、そのサイトでは映画の批評も書かれていたんですね。今でも覚えているのが、「人狼」という映画の批評の中で、主人公が路面電車に乗って移動するという、ぱっと見なんでもないシーンについての言及。そのシーンを見て私は別の印象を持っていて、こんなちょっとしたシーンでも他に感想を持つ人が居るんだと言う事、そしてその見方がまったく違うという事が、面白いなあと思ったんです。今、こうやって映画や小説、漫画の感想を自分なりに書いているのは、あの時感じた面白さが根底にあるんだと思います。去年の8月くらいに映画評への言及をされていた時に、生意気にも「感情移入してもいいじゃない」みたいなことを書いてしまいましたが、あれから物語に感情移入するということ、物語の中のリアリティを考えるようになりました。今でも伊藤さんの映画の考察には全然及ばないけど、ブログに残されている批評や考察は、映画を見る時の指標の一つです。この時に書かれていた余談の中の、「面白い映画評」に近づけているといいんですが。もし映画「メタルギアソリッド」(*オフィシャルのアナウンスはありません。個人的な予想です)が公開になったら、こんなに映画のことを良く知っていて、メタルギアの20年以上のファンである伊藤さんは、どんな批評をするのか、実は密かに楽しみにしていました。


SF小説家になられてからの作品は、短編を除いて全部読みました。彼の言葉に対する感受性の鋭さや、SFネタの徹底した盛り込みは、本当に斬新で読みながら何度も感嘆のため息をついてしまいました。それでいて、MGS4のノベライズでは、普遍的なテーマを丁寧に描きゲームとはまた違った情感を作り上げていて、その才能には本当に驚かされました。


伊藤計劃さん、素敵な作品をありがとうございました。実は昨夜も、あなたの作品を読み返していました。多分これからも、何度も読み返すんだと思います。だって、すごく読みやすくてついつい夢中になってしまうんだもの。ただ、これから先、あなたの書いた文章を読めないのが、とてもとても寂しいです。