メタルギアソリッド スネークイーター

ゲーム「メタルギアソリッド3 スネークイーター」のノベライズです。著者は「BEATLESS」や「あなたのための物語」など機械と人の関係を深く考察した作品が印象的な、長谷敏司さん。ゲームをプレイした時の緊張感や爽快感がよく出ていて、それでいながらあたかも長谷さんのプレイ動画を観ているような(実際にゲームをされたかどうかは分かりませんが)感覚がすごく楽しかったです。やっぱり他の人から観る物語って違うよね。すごくぐっと来たのは、冒頭のスネークがザ・ボスと無線で再会したシーンですね。スネークにとってザ・ボスという存在がいかに大きなものだったのか、本当にこの女性のことを尊崇していたんだなと思って泣きそうになりました。ゲーム中でもこのシーンはあるんですが、地の文のある小説の方がぐっときましたね。
それと小説オリジナルの部分では、ジ・エンド戦にてコンピュータと連携しながら戦うというシーン。ジ・エンドの居場所を割り出すミスターシギントの活躍がすごく良かったです。伊藤計劃さんがノベライズしたMGS4でも、敵地をかいくぐるスネークが技術担当のオタコンがコンピュータで算出したルートに命を託して駆け抜ける、というオリジナルのシーンがあるんですが、なにかこの部分はそういうつながりがあるんじゃないかなと勝手に思いました。
それとプロローグは、核の惨劇を長谷さん特有の淡々として非情な文体で描いていて、「反戦反核」がテーマの物語にふさわしいなと思いました。