最近のこと

やっぱりこっちは暑いなーと思ったら、ここ数日急に涼しくなりました。北の大地から来ているので二十度ちょっと切るくらいは涼しいの範疇ですが、それにしたって一日で十度ほども下がるなんて。ちょっと身体がついていかなくて、ただでさえぼんやり気味なのにさらにぼんやりに磨きがかかっております。輝くよ、わたしのぼんやり。


さてさて。こちらに来てからはがっつりゲームというわけにもいかず、楽しみといえば本を読むくらいですかね。映画館も行けないこともないけど、映画館がたくさんありすぎてよく分からない。。地方の映画館なんて前売り買ってなくても予約してなくてもその場で買って入れちゃったりするし、なんなら観客が一人ってこともあるくらいだし。まずはこっちの人に予約の仕方から聞かなきゃいけない気がしてきました。都会は大変だなぁ。
というわけで、娯楽の中でも非常に手軽な読書がめっちゃ捗っています。通勤時間もちょっと長いし。しかしなんでこんな状況なのに、積ん読本を持ってこなかったんだ自分。。こっちで買い直すのもなぁ。


そういえばしばらく本の感想は書いてなかったなーと思ったら、今年の五月から書いてなかったのか。。映画はマメに書いてるけど本も書いとかないと読んだことすら忘れてしまいそうだ。


えーと、ちょっと時間が経ってしまったけど「順列都市」読みました。イーガンです。難しイーガンです。もうね難しいってわかってるから、SFネタが100%理解できるわけじゃないつもりで読むので、まあそこはいいんですよ。(ほんとはちゃんとわかってると面白さが違うんだろうなあ。ちょっと悔しい。。)ジャンルとしてはポストヒューマンもの(進化した人間を描いたもの)に相当するのかな。コンピュータにアップロードすることが可能になった時代に起こり得る「格差」という視点がとても面白いんですよね。コンピュータ上で人格をソフトウェアとして実行するためにかかるコストによって、どれだけの時間(コンピュータの世界なのでセカンドとかそういう単位)自分を実行できるか。そこにお金がかかるわけです。もちろん起動していない時の自分に意識はないので、前回の実行からの間がどれだけ長かろうとそのブランクを気にする必要はないのですが、現実世界ではとてつもない時間が流れていたりするわけで社会的に置いていかれるわけです。浦島太郎的な感じで。肉体的な死がなくなっても、社会的、ソフトウェア的な事実上の死がやはりそこに存在していて、そういうところはさすがにイーガンだなあと思いました。
さらに後半は度肝を抜かれるような展開があったりして、SFネタが難しいわりに人間のコンテキストに寄り添うような普遍的な物語に着地するところがやっぱりすごくいいんですよね。

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)


続いてはアサシン クリードの公式ノベライズ。
ゲームではなく映画のストーリーをなぞる内容ですが、けっこう翻訳の文体が好みで良かったです。映画では説明がなかったキャラクターの先祖が明かされたり(ご先祖はゲーム由来のキャラ)、こういう補足的な部分も楽しめました。エツィオの名前もちらっと出てたしね。

アサシン クリード〔公式ノヴェライズ〕 (ハヤカワ文庫NV)

アサシン クリード〔公式ノヴェライズ〕 (ハヤカワ文庫NV)


オーバーロードの街を読了しました。
これはどういうジャンルになるのかなあ。SFであることは間違いないんだけど。介護用パワードスーツの暴走、ゲーテッドコミュニティ(メンバーだけが出入りできるようにセキュリティで固められたマンションの自治みたいな感じ)で起きた殺人事件、ナノテクノロジーで構成された所属不明のロボットを使役する少女などなど、面白キーワードがたくさんあるし、アクション要素もあったりしてすごく面白いです。が、やっぱりこの作家の真髄は危機的な状況にあっても長々と続く会話劇と、そこから展開していく途方もない世界観だと思うんですよね。登場人物たちは格差の下から上まで様々です。現実の、経済によって生まれた格差によって分断されている。ある程度は努力でどうにかなっても、世界的な状況は個人では変えられないわけです。人間が関わっているのに、人間の手ではどうしようもないもの。物語の中心はその「どうしようもないもの」にあり、人間たちはそれに翻弄されるばかり。でもこの物語の、この作者のキャラクターたちはとても実践的なんですよね。明日世界がどうなるのかなんて分からないけど、いまここで生き延びることだけを考えている。それがすごく魅力的だなあと思います。
それと、「どうしようもないもの」と母と娘の物語が奇妙にリンクしているんですよね。世界と個人が接続するお話がすごく好きで、そういう面も良かったです。

オーバーロードの街

オーバーロードの街


あと、合間に天冥の標をちょくちょく読み返してました。いま6の宿怨まで読んだとこ。確か来年には完結の予定のはずなので、今の内に予習ですね。これは初回読んだ時でも文句なく面白かったのですが、読み返すと「ああ、ここはあれだ!」と後の展開の伏線に気づいたりして、二度目も楽しいという。また他のサブキャラにも注目したりして、世界や時系列がとても広大でこういうのもシリーズ物の楽しみですね。もう全巻うちから持ってくるんだったわ。

天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)