最近読んだ本とか

すっかり書くタイミングを逃してしまってますが、本もそこそこに読んでいるので感想など。


まずはPKDの「去年を待ちながら」。なんでしょうね、PKD作品ってSFというジャンルの割に夫婦の不仲が出てきたりして、ちょっと変わってるなあとは思っていたんですが。これはその夫婦の冷え切った仲が話の中心で、ちょうど友人が離婚した直後でいろいろ話を聞いていたのもあって、なかなかしんどいお話でした。なんだろうね、お互いに憎悪しかないのに、ふとした瞬間に揺り戻しのような執着が顔をのぞかせたりして。時間SF的な側面もあり、未来の自分に「絶対に別れてくれ」と懇願されても、どこかで迷っていたり。心の底から憎みきれればいいのに、二人にはそんな純粋さもなくいい年した大人だから、めんどうだもう嫌だと思いながら関係を続けてしまうところが、やっぱりちょっと変わったSFだなあと思いました。



続いてカート・ヴォネガットの「スローターハウス5」。軽妙な文体とは裏腹に、戦争被害者がとてつもない惨状を目の当たりにした時の虚無感や諦念が「そういうものだ」の言葉に凝縮されている、良作でした。この繰り返される「そういうものだ」という文字は、すべて死者に捧げられているんですよね。(死にまつわる記述の末尾に必ず付く)何度も何度も繰り返されるその几帳面さが文体と合わさってちょっとしたギャグの様式となっているのですが、その裏には「そういうものじゃない、冗談じゃない」という抑圧があるように感じました。死を「終わり」にしない物語という点では、「あなたの人生の物語」や「ニルヤの島」を読んだ後に似た感覚でしょうかね。
カート・ヴォネガットは実は初めて読んだのですが、けっこう好きです。他のも読んでみよう。



ここ最近海外のコミックを読むようになって、ゲームもめっちゃ好きな「ウィッチャー1:HOUSE OF GLASS」を読みました。ゲームのサブクエストでも男女の愛憎に絡んだエピソードがけっこう好きだったので、こちらのえげつなくて切ない物語もかなり好みでした。ゲラルトはゲーム同様第三者として生きている者を優先させるんですが、そこもまたこのゲームらしい結末でコミカライズとしても良作ですね。


ウィッチャー 1: HOUSE OF GLASS (G-NOVELS)

ウィッチャー 1: HOUSE OF GLASS (G-NOVELS)


それと本ではないけど、ウィッチャーの塗り絵を買いました。なぜ塗り絵。。。恒例のゲラルトのお風呂シーンやイエネファートのうふふなシーンや他のキャラも勢ぞろいの豪華な一冊で、ファンにはなかなかお買い得でしたね。しかし生首がある塗り絵なんて初めて見たよ。。何色にすれば良いの断面。。

The Witcher Adult Coloring Book

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