2017年のこと

今年もこの記事を書く時がやってきました。なんだろうな今年は仕事の割合が高すぎて、自分の中ではあまりいいバランスではない一年でした。仕事の方ではそれなりに収穫というか、得られたスキルや知識はあったけどね。でも、もうちょっと友人に会ったり趣味に費やす時間が欲しかったなあ、というのが実感です。
一方で相変わらずゲームに読書に映画にと個人の興味を追求していて、あまり代わり映えのしないプライベートでした。んー、なにかこの半年くらいずっともやもやしたものがあって、何か変化を望んでいるような気持ちに似ているけどたぶん違うものをうっすらと感じています。
そういえば随分昔に、山田詠美さんの「ぼくは勉強ができない」という小説を読んで、その中で主人公の高校生の男の子が身体的な成長と心の成長のずれを感じるシーンがあったと思ったんですが、その老いのバージョンなんでしょうね。身体の衰えと心の老成を一致させていく必要があるんだなあ、と。
これは「攻殻起動隊」でも考えたことがあって、サイボーグの主人公は子供の頃から身体を、その時の心の状態に合わせて自分で選択してきたんですよね。で、最後はその身体すら捨ててしまうんですが。サイボーグにはそういう身体の老いと心の老いを一致させる明確なタイミングがあるけれど、生身の人間は少しずつ時間をかけて合わせていく必要があるわけで。まあ、今の自分は合ってないんでしょうね。どちらかが。


ああ、そうだ。今年の振り返りをしないと。
えーと今年は映画館で22本の映画を観ました。忙しいわりには近年で最高回数だったんじゃないかな。なにより今年は当たり年だったと思うんですよね。観るものがだいたい面白い。あんまりネガティブな感想を持たないってのもあるけど、それにしたって今年はすごかったんじゃないかな。特に今年は過去の大ヒット作のシリーズが多くて、エイリアンにスター・ウォーズキングコングブレードランナーと、今何年?というタイトルが目立ちましたね。どれも過去の作品の良いところをうまく現代的に焼き直したり、新たな視点が取り入れられたりと、映画を観続けてきてよかったなと思える作品ばかりでした。


さて、では今年の一本を。
今年は「ワンダーウーマン」です。



このヒーローには他にはない美しさがあると思うんですよね。それは外見的なものでもあるし、打算や計略を前にしても真っ直ぐに突き進む強さでもあります。本当に強い者は美しいんだな、と認識した作品でした。



今年は一度読んだ本を読み返したり過去の作品を読んだりして、あまり新作は読まなかったかな。あと年に一冊はノンフィクションを読もうと思っていて、結局読み終わってない本が積み上がりました。。近年は電子書籍に移行したのになぜか紙の積ん読も増えてるし。。紙の本と言えば、今年はけっこう海外コミックを読みましたね。日本の漫画と違って小説を読むようなコツがちょっと要るんですが、絵や展開がけっこう好きですね。他にも良さそうなのがあれば探してみようかな。


さて、今年の一冊は。
忘れられた巨人」です。



ファンタジーのようでもあり、老夫婦の人生と愛情の物語でもあり、個人の記憶から端を発する国家の記憶の物語でもあるような、そんなお話です。この作家、カズオ・イシグロの作品って、テーマや主題の問いに対する明確な答えを提示するような描写は慎重に避けられていて、ストーリーと余韻を読者の心にそっと置いて去るような、そんな作風だと思うんですよね。うーん、私はこの作品からは「忘れないで」という願いのようなものを聞き取ったと思います。それがどんな真実であれ。


今年はあんまりゲームをしている余裕はなかったなあ。と言いつつも、久しぶりのドラクエ11を堪能しました。というかまだやってます。なかなか終わらないんだよ。今年は国産ゲームが豊富だったみたいで、ハードが手に入ればゼルダもやりたかったですね。一方、インディーズゲームもどんどん良作が出てきていて、まだ途中だけど『UNDERTALE」やサイバーパンクバーテンダー・ゲームという一風変わったジャンルの「VA-11 HALL-A(ヴァルハラ)」はなかなか良かったです。そうそうインディーズゲーム系でわりとサイバーパンクブームが再興しているみたいなのが嬉しいですね。来年あたり「ウィッチャー3」の開発元がサイバーパンクなゲームを出すみたいだし、すごく楽しみです。


さて、今年の一本は。
ドラゴンクエスト 11 過ぎ去りし時を求めて




まだ本当にクリアしてないけど。子供の頃に遊んだシリーズをこんなに大人になった今も夢中になってできるなんて、本当に幸せなことだと思うんですよね。荒いビットの中に詰め込んでいた想像が、今ははっきりとした壮麗な風景となっているのも素晴らしいけれど、あの見知らぬ街を訪れる時の新鮮な気持ち、新しい仲間を得た時の心強さ、強い敵に遭遇した時の緊張は変わらないままそこにありました。ボス戦の時は正座しちゃったよ。まあ今回はボス戦長かったから、途中で崩したけどね。


今年はこんな感じですかね。なかなか趣味に時間をかけられなかったけど、その分高い濃度で堪能したなあ、という感じです。でもねー、もうちょっと時間は欲しいよね。
忙しさにうんざりしてもう嫌だな、と思った時もすごくたくさんあったけど、それを乗り越えられたのはここに書いた素晴らしいフィクションが寄り添ってくれていたからだと思います。私はあんまり身近な人に愚痴るタイプではないので(別にまわりの人を信用していないというわけじゃなく、会話をするなら楽しいほうがいいなと思ってるだけ)、こういうフィクションが一時の現実逃避を与えてくれることが本当に必要なんだなあと年々強く感じます。だってどうやったって、私のちょっとした問題なんかよりフィクションの中の人たちのほうが毎回ものすごいピンチに直面してるんだもんね。


今年もたくさんの「物語」に触れることができました。フィクションだけじゃなく、他者の人生もまた一つの「物語」だとすれば、誰かと出会って人となりを知っていくのもまた一つの「物語」との出会いなのかな、と思います。そういう意味も含めてたくさんの「物語」を聞くことができたのは、幸せな一年でした。


それでは良いお年を。