「007 / 慰めの報酬 」



最近まめに映画を観に行くようになって、予告編ですっかり魅了されたので観てきました。
前作はDVDで観てたんですが、かなり内容を忘れてしまってて、好きだった女性が亡くなった、ということだけ思い出して観たのでストーリーの方はほとんど分かりませんでした。いや、正直に言うとストーリーはどうでも良かったのです。だって、ボンドを演じるダニエル・クレイグさんがちょうカッコよかったから!いやー、ほとんどボンドだけを観てて、字幕はあまり見ませんでした。だって、いちいち読んでたらステキな仕草とかクールな表情を見逃しちゃうんだもの。という訳で、この映画のもっと素敵な部分を見逃してるような気もしますが、たまにはこういう見方もいいかな、と思います。いいよね。


まず冒頭のカーアクションシーンですが、いきなり度肝を抜かれました。すごい!「ボーン」シリーズでも激しいカーアクションがあって、こんなの観た事ないって思ったんですが、映画が始まってものの数カットでそれを超えてました。先日、昔の007をテレビで放送していたのを、途中から何気なく観たんですが、アクションが妙に面白いんですよね。途中なんで話はよく分からないけど(まあ多分敵のアジトに潜入みたいな感じ)すごく魅せる。007って諜報(スパイ)の謎めいたクールさと、セクシャルなボンドガールとのホットな絡み合いがイメージとしてあるんですけど、アクションがきちんと作り込まれているなあ、と認識を新たにしました。そのアクションがボンドという、世界一有名なスパイを見事に引き立てているんですね。カーアクションだけでなく、格闘もすごくて、取っ組み合いの危なさや破壊力、追いかける時の焦燥感(見失っちゃう!)や素早い動きが、スピード感のあるカット割りでガンガン展開して魅入ってしまいました。一番ビックリしたのが、ボンドが走ってる時、背景の人ごみはぶれてるのに、ボンドだけちゃんとピント合ってるカット。カメラマン、すごいよ!よく撮ったね、コレ!ほんの一瞬だったけど、ボンドが全力で敵を追いかけてるっていうのをビシビシと感じました。そして、激しいアクションをこなした後の何事もなかったかのような涼しげな顔。ダニエル・クレイグさんが青い目なので、なおさらクールに見えるんですよね。ああ、ボンドってやっぱりすごいなあって思ってしまう。これってこのシリーズのお約束なのかもしれないけど、それを過不足なくきっちりと観せてくれる。映画を観て満足するって、ストーリーだけでなくこういう演出部分の満足もあるんですが、これはかなり良かったです。


そして、ボンドと言えばタキシード。これがね、とても素敵なんです。もうこれを観れただけで映画代無駄にしなかった!とすら思えた(笑)美しい、という言葉は女性に多く使われると思うけど、彼の着こなしや立ち姿は本当に美しい、と思いましたね。敵とはち合わせたシークエンスではぞくぞくしてしまいました。肩のラインがすごく綺麗なんですよね。上がりすぎず(いかり肩)下がりすぎす(なで肩)、絶妙なバランス。こういう、男性の正装に色気があるのは、「華様年花」という映画の中でトニー・レオンさんが見せた背中が一番だったんですが、今すごく揺らいでます(笑)


007を映画館で観たのは今回初めて(テレビやDVDでは観てる)っていうくらいで詳しくは知らないんです。でも、ボンドガールって作品ごとに登場してて、ボンドと一時の恋愛関係を作って終わっちゃうっていうのが、セオリーだったんじゃないかなと思うんですけど、今回はその喪失がストーリーの上で一つのキーになっているんですね。傷心のスパイなんです。ボンドって女性を見かけたらすぐナンパするとか、そういうプレイボーイなイメージがあって、そういう「軽さ」がいいのかもしれないけど、私はこの傷ついて気持ちを持て余していながら、それをクールに取り繕っているボンドにすごく魅力を感じました。砂漠の洞窟で、同じように傷ついた女性に見せた心の傷。その時に向けた背中がこの映画の中で一番、色気がありました。こういう物語の中で描かれる傷はなんて甘くて耽美なんだろうな、と思いました。


いやー今回は久しぶりにストーリーそっちのけで、役者さんの魅力に耽溺してしまいましたね。観終わった後、ツタヤに行ったら前作が全部借りられてました。。。