「少女ノイズ」

少女ノイズ

少女ノイズ



MPO(メタルギアソリッドポータブルオプス)のシナリオを書いた、ということで前から気になっていた作家さんです。


漫画でも小説でも推理ものを読むのは嫌いじゃないんですが、せっかちな性格なので犯人が知りたくなって途中からすごい勢いで読んでしまったりします。(いきなり最後だけ読む事はしないですが)これは短編集なのでそういうせっかちさんにはとても良い本でした。短いストーリーの中にしっかりと推理要素が詰め込まれてて、一言一言綿密に計算された言葉が最後のタネ明かしで一気に意味を持つ爽快感が素晴らしかったです。そういう推理小説の基本的な楽しみをしっかり提供していながら、頭脳明晰、容姿端麗な孤高の女子高生と、人には言えない秘密を抱えた理系男子のコンビ、なんてすごく今風にキャラクターを立たせていたりするんですよね。こういうのをライトノベルっていうのかな。それでいて一人称の文体がすごく落ち着いてて、キャラクターの派手さを上手く補っていて、読みやすかったです。文学的、というと大袈裟だけど、きちんと内面の描写がされてたり、比喩表現のセンスの良さがとても素敵でした。
一番の読みどころは、孤高の天才少女が「僕」に子どものように頭を撫でられるシーン。この恋愛と呼ぶには幼いやりとりが、兄と妹を想起させて何故だかとても背徳的な感じがしました。