ロボット

伝説のインド映画「ムトゥ 踊るマハラジャ」のスーパースター(これはつけとかないと)ラジニカーント主演のSF映画。最初に言っておくと思ったより普通でした。ムトゥがそれまで観たことのなかったフィクションとしてのインドを娯楽として消費できた時とは違って、今作はだいぶハリウッドテイストが多くて前作の「飛び抜けたインド」を期待するとちょっと違うなという感じでしょうか。でも冒頭でいきなり「ロボット工学三原則」をあっさり無視したり(ずっこけた)、人間の神秘に初めて関わった機械としてロボットに帝王切開手術を任せてしまう辺り(ちょっと怖かった)、ムトゥで感じた位相のずれた価値観は楽しめるんじゃないかなと思います。これと同じことを日本映画や参照元のハリウッドは絶対にできないと思うんですよね。彼らはたぶん大真面目にこの作品を作っているんじゃないかな。この奇妙な文化的ギャップがシリアスをコメディにしてしまっているのは単に観る側のせいなんだろうけど、このずれがどういう方向へと向かって行くのかなと思うとインド映画には想像もつかない可能性があるような気がして今後が楽しみです。