観てみた。

座頭市物語 [DVD]

座頭市物語 [DVD]



先日漫画を読んでからなんとなく気になって。
ていうか、こーゆー機会でもないと旧作はなかなか観ないですねえ。
わざわざ観なくてもネットでストーリーとか調べられるけど、最近実経験と言うか「ちゃんと観る」という経験値が落ちてる気がします。
で、これ。1962年の作品です。
あまりの古さにほとんどファンタジーの領域ですが、ストーリーやアクションの盛り込みはすごくしっかりしていてびっくり。
カメラワークの雑さとか(それでも劇的な演出のズームやパンを随所に盛り込む努力がいい)、音声のイタさはシロウトでも分かる程ですが、
脚本がすごくしっかりしていて、「ただの活劇だろー」という当初の印象を見事にひっくり返されました。
市と浪人の対決に至るまでのしっかりした筋書きや、活劇の盛りどころ、やくざ同士の対立などなど、
ちゃんと90分強の尺で収まるようにキレイにまとまっていながら、ちゃんとカタルシスも用意されていて、
日本映画ってこういうのを礎に発展してきたんだなあ、となんだか嬉しくなります。
そしてやっぱり役者がすごい。
勝新太郎さんのしみじみとした語りや、時に活の入った台詞まわし、したたかでありながら義を重んずる古いタイプのやくざを
どっしりとした存在感で演じていました。
それに台詞の流れがとてもキレイで、音としての日本語の美しさって言ったら大袈裟かな。
小気味よくポンポン台詞が飛び交うので、ちょっとよく聞いてないと聞き漏らしてしまいそうになりますが、
そういうやりとりがすごく良かったですねえ。
さらに極めつけは、素早い居合い抜きのシーン。今観ても普通にスゴい(笑)
なんていうか、甘く見すぎてました。不覚にもワクワクしてしまいましたよ、市の居合い抜きに。
古い映画もたまにはいいもんですねえ。