ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]

ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]



映画を観てこんな風に客観的になる映画も珍しいかもしれません。
特にこの事件に興味があった訳でもなかったのですが、なんとなく気になって観てみました。
前半の事件の首謀者達を暗殺していくシーンの、殺意のなさにちょっと驚きが。
暗殺というか殺人を犯しているというより、少年時代の悪事の延長のようなノリに近いのかなあ。
何故かやたら料理してたり(しかも美味しそうだ)、緊迫感がきれいにそぎ落とされている印象がありました。
後半は一転して、追う立場から追われる立場への転換のような構成になってて、皮肉な展開が続いて行きます。
感情面では何も共感できないけれど、構造の逆転とか、太刀打ちできない大きな力(組織だったり、国家だったり)への抵抗とか、
そういう流れはなかなか面白かったかな。
共感と言えば、唯一、生まれて間もない娘と電話ごしに会話する主人公にはなんとなく共感できた気もします。
音楽が極力抑えられていて、画面の効果もあまり使わずに、
淡々と銃撃の音と悲鳴や怒号だけでシーンが進んで行くシーケンスがあったりと、
ドキュメンタリーとフィクションの間を抜くような演出がちょっと新鮮でした。
あと、『なんか観た事ある人だなあ』と思っていたらダニエル・クレイグさん(現在のジェームズ・ボンド)が出てました。
エンドロールで気づいたよ…。