「アイアンマン」



最近ヒーローものが続いてて、それに影響されてるのか無性に観たくて行ってきました。


ヒーローには2通りあって、自己否定するヒーロー(「I'm not a hero」)と自己主張するヒーロー(「I'm a hero!」)があるような気がするんですが、これは後者。
ちなみに前者はこの前観た「Dark Knight」かな。
日本人の奥ゆかしさ(笑)を想定すると、前者のヒーローが後者よりも受け入れられそうな気もするんですが、
逆にこのくらい「オレオレ!」って主張する恥じらいのなさがある意味羨ましいなあ、と観てて思いました。
ブルース・ウェインがいろいろと悩んでいる間に、トニー・スタークは研究室にこもって黙々とスーツの開発に勤しむし、バットマンが混沌と正義の狭間でそれでも己の真実を見つめながら真摯に戦う一方で、アイアンマンは「ひゃっほー!」とか叫びながら空を飛び、大層な理由もなくちょっと思い入れのある人々を助けに行っちゃったりする。
どちらもとても魅力的で、こういう相対するヒーローを輸出できるアメリカって素直にすごいなあと思いました。


お話の方は、限りなく「現実」に近づけた世界設定という最近の流行も踏襲しながら、危機的な状況で絶妙のタイミングで空を飛んでやってくるヒーロー像は、観ててすごく気持ちが良かったです。
もう変な焦らしとか変化球なしで、心の中で「助けて!ヒーロー!」って叫ぶと、煌めく鋼のスーツに身を包んでカッコ良く登場してくれる。
そうそう、ヒーローものはこうでなきゃ!
辺境の村に出動するシークエンスは本当にワクワクしました。
手からビーム出して悪者だけでなく建物までも破壊したり、内蔵ロケットで戦車吹っ飛ばしたり、
こういう大暴れシーンは映画館で観るものだなあ。すごい迫力で楽しかったです。
それにアイアンマンが最強って訳じゃなく、いい感じにダウングレードされてて、
悪い奴とのパワーバランスが上手く取れているのも良かったです。
無敵のパワーで豪快にばっさばっさ敵を倒すヒーローもいいけど、ボロボロになりながらも果敢に戦うっていうのが、ヒーローらしい感じがします。
一方で、アイアンマンの行動には大義なんてなくて(あったからどうだとも思うけど)、ただ「わるいことしてるやつがいる」っていうあまり頭のよろしくない思考で動いているので、とても危険だとも思うんですけどね。
なんだろう、この行動って本当に一時的な救済に過ぎないってことは明白で、アメリカがこんなに世界中に無節操に暴力を輸出する動機って、実はこんなもんなのかもなあ、とも思いました。
そういう、「高尚な理由ではなく単純な動機で行動するヒーロー」というキャラクターに、トニー・スタークのような天才児(天才ではなく)がすごく合ってて面白かったですね。
こういう、ナチュラルボーン天才みたいな、そこら辺にあるがらくたで適当に実用的なものを作り上げてしまう器用さや、それを当たり前の才能として活かしているキャラクター像がすごく魅力的でした。
というかこのトニーを演じたロバート・ダウニーJrさんが、すごくステキで、おっさん好きの心を存分に満たしてくれました(笑)
いやもう、部品を組み立ててるシーンとか、スーツをテストしてるシーンとか、スーツ装着のシーンとか、女を口説いてるシーンとか、いちいち色っぽくて観てて身悶えしてました(笑)
うーん、抱かれたい。


これ、女性は楽しめるかどうかを疑問に思ってる男性のブログを見かけましたが、
こういう年上(おっさん)好きな人にはいい映画だと思います。笑いのセンスも女性向きな感じだし。
アイアンマンのビームとか、スーツの装着シーンはどうかな。
私はすごくワクワクしたけど。
そういう、私は「セックスアンドザシティ」とか観ない人なのであまり参考にはならないかも(笑)






英語で書くと「Iron man」。アイロンマンとも読めるなあ。アイロンマンって、アンパンマンの仲間みたい。
ていうか、アンパンマンを現実に近づけたヒーローとして描いたらどうなるんだろう、なんてことを考えていたら、
R15指定とかになりそうなビジュアル表現に行き着いて、アンパンマンでR15指定ってどうよとか思いました。