「ラスト、コーション」

ラスト、コーション [DVD]

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主演してるトニー・レオンさんが好きなんですが、前評で「かなりえろい」という噂を聞いて、
映画館で観るのを止めておいた作品です。
やっと観れた。


で、内容はというと、すごくえろかったです。
このお話は、理性でのコミュニケーションの抑圧を、思いっきり身体の方のコミュニケーションにぶつけてしまった、
という事なんだと思うのですが、その抑圧の表現がとてもえろかったですねえ。
セックスっていろんな意味で直接的なコミュニケーションの方法だと思うけど、
理性(言葉)でのコミュニケーションのような繊細さ、ディテールは当然持ち合わせてなくて、
どうにもならない「欲」だけをぶつけあうしかなくて、そういう中で溢れていってしまうディテールが切ないなあと思うのですが、
この作品の中ではそういうコミュニケーションの細かい色気が、「焦らし」という手法で上手く出ていると思いました。


中盤で、レストランでのシーン、あのシーンではセリフにあまり意味なんてなくて、イー(トニー・レオン)の眼差しの中でチアチー(タン・ウェイ)が顔を伏せたり、視線を投げたりする仕草にそういう性的なコミュニケーションのディテール、焦らしを感じました。
それもチアチーが処女だってのがまた、このシーンにさらなるえろさを与えてて、彼女の赤く浮き上がった口紅(化粧慣れしてない初々しさ)や、子どもっぽい一重まぶたの下から窺うような視線だとか、そういう無自覚な媚びがすごく生々しかったです。
それに対応するイーの見透かすような眼差しが既にSで(笑)、これまで彼は優しい雰囲気の役が多かったように思うのですが、その雰囲気を保ったまま視線だけが獣っていうのが、すごくどきどきしました。家で観て良かった。


一方で、「欲」をぶつけ合うセックスシーンはかなり壮絶で、互いにほとんど暴力的なんですが、
中途半端に優しさとか労りがなくて、圧倒されました。
もう互いに「喰い尽くしてやる」っていう気迫がすごい。
それにタン・ウェイさんの表情が一番美しく撮れてるのはここだと思いましたね。
ちなみにトニー・レオンさんが一番カッコ良かったのは、書斎に断りもなく入って来たチアチーに静かに「二度とここに来ては行けない」という時の、一瞬見せた厳しい表情がすごくステキでした。