「イーグル・アイ」



ネタバレがあります。




機械が意志を持ったらっていう物語は好きなんだけど、機械が反乱を起こして人間があたふたする、っていう描き方が多い気がする。そういうちょっと見慣れた流れだったけど、その中でいかに人間が翻弄されるかという部分はとてもスピード感があって良かった。機械が考えそうな、人間の感情や行動もすべて「計算」という横暴さもダイナミックなアクションでよく出ていたと思う。進路の信号を全部青にしてしまうとか、ごみ処理場のクレーンをハックしてパトカーを妨害するとか、とても迫力があったし。でも、なんだろう、物語としては新しい視点がなくて残念だった。機械が世界を支配しようと考えたら、という部分が、ちょっと予想出来てしまうというか、どこかで見たような感じと言うか。インフラを自分の感覚器のように使うっていうのは、人間的なアイデアだと思う。機械はこういう視点で考えているっていう、驚きや新鮮さを描くのは難しいのかもしれないけど。機械を人間のように描くというのも昔からあるし、好きなんだけどちょっと中途半端な気がした。機械の冷酷さも、人間的な判断も、一応説得力のある物語ではあるんだけど、ちょっとバランスが良すぎるのかもしれない。人工知能もの、というか機械が反乱する物語は、もっと偏って歪んでてもいいと思う。