「グッド・バッド・ウィアード」



久しぶりの韓国映画。笑いどころの多い映画で、家で観てたら確実に手ぇ叩いて笑ってましたね。それほど韓流ファンというわけでもないのですが、かなり楽しめました。


画で物語を展開させるという基本的な部分にとても忠実な映画でした。冒頭の列車強盗のシークエンスなんか、ほとんど台詞がないにも関わらず、丁寧に画を見せることできちんと説明しているんですよね。コメディってその場その場の瞬発的な笑いが重要だと思うけど、こういうベースの部分がしっかりと描けているからこそ、思いっきり笑いに持って行けるのかなあと思います。
それと暴力表現への姿勢もいいんですよね。向こうで暴力表現がどのくらい許容されているのか知らないけど、この映画では見せるべき所と見せない所の切り分けがはっきりしている。ソフトな表現に逃げるのでもなく、まったく除外するのでもなく丁寧に一つ一つの表現に対して考慮していると思いました。他の映画でも胸が張り裂けそうな表現とか普通に挿入されていたりするし、その点では韓国映画はかなりレベルが高いと思っています。


ではまずグッドから。私はカッコいい人がカッコ良過ぎると笑ってしまうという変な癖があるのですが、日本軍相手に一人で突っ込んで行くシークエンスで大爆笑していました。カッコ良すぎる!ヒーローバリア*1にヒーローショット*2全開だし。馬上での美しい姿勢やリロードの手際の良さ、他の二人と対峙したときのクールな表情などすべてが完璧にカッコ良かったです。
つづいてバッド。今年はスクリーンでイ・ビョンホンさんをよく観ているんですが、なんだか変態な役どころばかりですね(褒めてる)殺気や狂気といった「気配」を表現出来る役者さんはたくさんいるけど、この人ほど分かりやすく表現出来る人はいないんじゃないかと思います。なんていうか、漫画っぽい。別にけなしてるんじゃなくて、本当に後ろに黒々とした渦巻きが見えそうなんだもの。黒いマントをバサバサと広げながら繰り広げるアクション(バットマンか)は、そういう漫画的な耽美さがありましたね。狂気を極めすぎて一種の純粋さすら感じさせる演技が素晴らしかったです。
そしてウィアード。映画の中で一番笑いどころをさらって行ったこのキャラクターが一番好きです。ソン・ガンホさんは前にJSAで複雑な役割を演じていた時に、抑えた中にもきちんと感情を表現していてすごいなあと思っていたのですが、こんな引き出しがあったとは(笑)顔芸に弱いのでちょっと変な顔をしただけで笑ってしまうのですが、それだけじゃなくキャラクターそのものを全面に押し出した身体を張ったアクションがすごく面白かったです。画面に出ただけで笑ってしまうんだもの。闇市での小物を使ったアクションが最高に笑えました。

*1:主役にだけ使える100%弾を防ぐバリア

*2:主役だけに使える100%命中するショット