「マイケル・ジャクソン This is it」



ダンスのことはよく分からないけど、男性と女性のそれとでは、どうやっても違いがあるように思う。男性が踊りは力強く、女性の踊りはしなやかだ。そもそも身体には性差があるのだから、そういう差が出るのは当たり前で、この事実を振り落とすのはとても難しい。でも、この人の踊りにはなんていうか、そういうものがないように感じた。女性のように華奢な身体から繰り出される、機械のように正確なステップ。男性的な卑猥なポーズ(股間に手を当てて腰を押し上げるやつ)をとっても、驚くほどいやらしさがない。なにか身体の別の次元を見ているみたいな、不思議な感覚。そういう、身体のレベルでの何かを超越してしまったんじゃないだろうか。この人は。


中学生くらいの時に観た、「フリーウィリー」(だったかな)という、シャチが少年と仲良くなるっていう映画のエンディングに流れていた「Heal The World」が好きでした。映画の冒頭で語られたように、非常に多くの人に原動力を与える、本当に類い稀な才能だったのだと思います。劇中のダンスを観ながら、こんなにいろんな意味で影響力を与える人が既にこの世にいないということが信じられませんでした。