オブ・ザ・ベースボール

オブ・ザ・ベースボール (文春文庫)

オブ・ザ・ベースボール (文春文庫)

表題作の「オブ・ザ・ベースボール」から。相変わらず感想がわけわからない。

救助隊(レスキュー・チーム)というか自警団のようなところに所属する!、コスプレした!、バット男!の物語。…むりやりバットマンになぞらえてみました。セーフでもアウトでもないファウルというところも、善でも悪でもなくその外側にある秩序ってところも似てませんかね。うーん。ほぼ年に一度、空から人が降ってくるという状況、そして野球じゃないと否定しながらタイトルが「ベースボール」、主人公の男の最後の行動(いくら詳しくなくてもそれが野球のルールではないくらい分かる。それ打ち返さないでしょ)、まったくもって訳が分からない。でも円城塔はまともに読んじゃいけないんですよ。「ああ、まあそういうこともあるよね」くらいのきもちで付き合うと、なんだか細かいことはどうでも良くなるこのゆるふわ不条理がなんだかくせになる。でも物理はちゃんとしてるのよね。人が降ってくるという設定そのものは意味不明なのに、落下速度とかちゃんとしてる。変なのー。まあ月並みだけど、このバット男は毎日がきっちりと同じ日々からの脱却に成功したのだと思う。全然冴えてないけど、彼なりの、バット男なりのたった一つのやりかたで。その結末も想像の範囲内なんだけど、でもほらセーフでもアウトでもないファウルだから。そういう結末を導いて男は物語の外側に出て行く、そんなお話。

つぎの著者につづく」。
あ、しりとりだ。しりとり、というか連想ゲームかな。でもその連想されるものっていうのがものすごい量の本からの引用なんですよね。引用されてる本、一冊も読んだことないわ。それで一息にぜんぶ語ってしまうようなすごい密度。こんなに読んでて想像できない小説初めて。壊れた小説機械みたい。手当たり次第引用しまくって、テンポとかリズムをがんがん無視してどばばばーっと吐き出された物語。
でも、この著者の危機感のなさがなんとものほほんとしてて「こんなん読めるかい!」っていう怒りをとりあえず反らしてるあたりあざといなーと思いつつ、休止するポイントがない平坦な語り口で「この辺で」っていうのを回避している計算高さでなんだか最後まで読んでしまう。で、どんな物語だったかって言うと、まあしりとりかな?くらいの感想しかないわけです。しりとりっていうか連想ゲームね。そうだなあ「薔薇の名前」くらいは読もうかなー。