3週目クリア。

2週目終わっても無線全部聞けてなくて、3週目へ突入。初回同様EASYモード(アシストなし)でクリアしました。えっと…あれだけ苦労したラスボス戦を一回でクリアできるようになりました。ブレードも体力もかなり強化したけどね。まあゲームをやってるとありがちなんですが、初回で頭に血が上りすぎなんですよね。もっと落ち着けw でもあのカーッとなって夢中でボタン押しまくる瞬間とか、もう勢いだけで勝ちにいく高揚感は初回ならでは、なんですよねえ。ああいう無我夢中の瞬間があるからゲームってすきです。

さてストーリーの方も少しは落ち着いて鑑賞できました。無線もほぼ全部聞けたし!(トロフィーもらった)初回では誤解していたことや、読めてなかった部分をちょっと補完したいと思います。

ネタバレ









今作の首謀者アームストロングの目的は世界を弱肉強食の混沌へと叩き落とすこと、なんですよね。最初は、愛国者たちが作り上げた規範の中で思考停止したままぬるま湯の中で暮らしている人々を煽動するようなことを言ってたけれど、彼の理念は組織化された武力の解体、「気に入らないやつをぶん殴る」ということ。愛国者たちが作り上げた規範に盲目的に従って楽に生きてきた人々は、愛国者たちの消滅とともに拠り所を失ってしまいます。最初、彼はその拠り所を復権させる、と言いますがそれは建前です。本音はそのぬるま湯につかって自分から考えることを放棄した人々を操って、原始的な闘争の世界を実現しようとするんですね。MGS4でAIによる人工的な規範から解放された世界は混沌へと還った。今作はその混沌がエスカレートして「西部の開拓時代」にまで転落しようとする世界で、一本の剣でもってそれを食い止めた男の物語、なのでしょう。そう、MGS4雷電はすでに巨大な戦艦を腕一本で食い止めてスネークを救っているけれど、そのイメージと重なりますね。で、結局はそれが巡って活人剣という理念を実現しているのではないかと思います。

愛国者たちが作り上げた規範は善悪で割り切れるものではないんですよね。人が人として生きている時に意識的にも無意識にも選択する、習慣、言葉、考え方などが集まって人工的に最適化されたもの。私はそのように解釈しています。それはそうと、これまでメタルギアソリッドシリーズは、遺伝子や核といったものを取り上げてきました。核はよく知られているように放射性物質を拡散させる危険性を含んでいて、その物質が放出する放射線は遺伝子を傷つける可能性があります。では、ミームという文化的遺伝子に対する「放射線」、ミーム自体を傷つけるものとはなんだろうか。ミームというものが、「ぼくらは結局、ひとりひとりがお話なんだ」(伊藤計劃著「メタルギアソリッド ガンス オブ ザ パトリオット」)というように、弱い個々の人間と共にあるものだとしたら、少数の強者によってしか語り継がれないことがミームにとっての放射線になるのではないかな。もちろん、すべての弱者のミームが残ることはあり得ない。それはMGS2で「大佐」が指摘した通り、個々が心地よいと感じる「真実」の氾濫になってしまいますよね。でもその中でも長く語り継がれる物語には強度があると思います。それは強い者の物語ではなく、多くの人に届き心の中で再生し新たな語り口を得て伝わっていくもの。歴史は強者の物語だなんて言うけれど、本当に残るのは誰かの心に一時的に住まうことを許された、強度のある物語だけだと思うんですよね。今作で雷電はそんな強者に切り捨てられそうな個々の弱いミームたちを守った。強者のミームを断ち切る、という方法で。でもそのことは雷電を強者へと押し上げてしまうことになります。強者を切り伏せられるのは強者だけですからね。だからあのボス戦の後の雷電の何とも言えない無表情(そして強者のミームを継承したかのような目の赤い輝き)は、守るべき世界から遠のいて行かざるを得ない、その境地に分かっていたけれど立ってしまった、彼の内面の複雑さがよく出ていると思います。
ちなみにあまり関係ないけど、SFの「ねじまき少女」という小説の中にジーン(遺伝子)リッパーなる技術が出てくるけど、それを言ったら雷電ミームリッパーとでも言うべきなのかも。それが彼の中の「ジャック」の役割なんでしょうね。

ちなみにやっぱりアームストロングのキャラクター像はあまり腑に落ちませんでしたね。彼の弱肉強食の理念はアメリカの銃社会の根源ではないかな。でも銃社会を支配しているムードは「恐怖」であり、今作のような「怒り」ではないと思うし、それに恐怖であるならアームストロングの武器は銃になるはずですよね。(名前も「アームストロング」ではないですよね多分)だからこのキャラクターにはちょっと違和感があるんですよね。うーん、ストーリーとキャラクターの整合性はよく取れていると思うんですけどね。なにかキャラクターを支える背骨のような「これしか理由がない!」という理詰めのものが欲しかったなあ。(SFすきなので)でも、メタルギアの上での演説とかサプライズ演出は本当に面白くて、ボス戦前で盛り上がってるところにあんなハイテンションの演技見せられると毎回爆笑してしまうんですよねー。雷電のキレもすごいし。無線で「しゃらくせえ!」って言ってるところで息が止まるくらい笑いました。雷電あなた…w 悪役っぷりもストレートで「こいつを叩っ斬る!」って気分にさせてくれるし。エヴァ風に言うなら「あいつが本気を出す時は、メタルギアを降りた時と、メガネを外した時!」ですね(笑)

それと前回書かなかった部分ではモーションが素晴らしい。サム戦の後の剣を納める所作や、ラスボス戦のムラマサ(ムラサマじゃないよ!)を構える気迫のこもった動作。普段モーションアクターさんのことを意識することはあまりないんだけれど、これはすごいよ!思わず動作にみとれてしまう。構えも美しいけど、戦闘終わりの刀を納めるところが本当にかっこいい。今度ゲームする時はモーションにも注目してみようかな。こういう見方ができるのもゲームならではで楽しいですね。

と、あとどうでも良いけど、なんで敵勢力の名前が「Winds of Destruction(破滅を呼ぶ風)」なのかなあとぼんやり考えてて、もしや風神・雷神から来てる?と思いつきました。どうなんでしょう。どうでもいいですが(笑)