ミッフィー どうぶつえんでたからさがし

いつだったか作者のディック・ブルーナのドキュメンタリーを見ていたら、彼がデザインするキャラクターの輪郭線は小刻みにぶれがあって、彼自身それを「魂の震えである」と表現していた(と思った。たぶん…)んですよね。ミッフィーは子供向けのキャラクターでありながらアートでもある。だからあのシンプルさに関わらずどんなキャラクターよりも魅力なのかなと思います。

で、映画です。絵本とは違って動きもあり、キャラクターもイラストではなく人形として登場します。残念ながらブルーナの震える輪郭線ではないものの、紙のような質感でかなり忠実にミッフィーの輪郭を再現していたと思います。ミッフィーの顔のあのちょっと下ふくれというか、大福をお皿に乗せた時の形状というか、あの感じはよく出ていましたね。耳はちょっと長くて直立すぎるようでしたが、顔全体の丸みと調和がとれていたと思います。服がちょっとぶかぶかで大きいのが気になりましたが、今回のような動きのある絵では仕方ないかな。

動きの方はとても丁寧な仕草の作り込みだったり間の取り方が良かったです。ぬいぐるみを動かした時の感じに近くて、手を振ったり下ろしたり、または腕を回したりする時のかわいさはよく出ていましたね。あと会話をする時の首を振ったり目をつぶったりする仕草も、きちんと会話する相手へのメッセージとして機能していたと思います。まあ一番かわいいと思ったのは、後ろ姿ですね。何回か出てくるけどすごい可愛かった。

物語は子供向けのもので、動物園で5つの動物を探すというものでした。これから見つけるものはどんなものか、一つ見つかるたびにこれまでなにが見つかったかをおさらいして、小さい子供をきちんとストーリーに集中させようとする構成になっているところは感心しました。意外とギャグが盛り込まれていたり、子供向けながらミニマルな映画の一式は一通りそろえているんじゃないかな。