攻殻機動隊 ARISE Border 3: The Ghost Tears


はい、ARISE第3弾観てきました。前回は忙しくて劇場まで行けなかったもんなあ…。
公安9課のチーム設立まであと1人足りないところまでこぎつけた素子ですが、せっかく用意した情報資源が上手く活用されなかったり要望だしまくりで荒巻に怒られたりと仕事はあまり上手くいっていない様子。爆弾テロ犯にも出し抜かれるし。その代わりというかプライベートでは恋人のホセといちゃいちゃしたりして、恋愛と仕事の両立って難しいよねってお話でした。まあちょっと違うか。
漫画版の方はわりと(女性同士で)いちゃいちゃしたりかわいい顔したりしてるんですが、アニメ版(テレビシリーズ・映画)の素子は仕事の鬼みたいなところがあってあんまりこういう顔を観たことがありませんでしたね。バトーさんと一緒の時でもあんまりうっとりした顔しないしね。サイボーグ用の食べ物を食べて美味しさにびっくりした素子がかわいかったな。すごいセクシーなドレス着てるんだけどそのびっくり顔が子どもっぽくて良かったです。


機械の身体を持つということは生身の人間が意識するしないに関わらず直面する老化を、意識的に選択していく(あるいは選択しない)ということです。選択しない、若いままで居るというのは劇中の結婚披露宴で描かれたエピソードでもありますね。彼らは自分の心の有り様と外見を一致させながら生きていかなければならないんですよね。いつ、身体を乗り換えるか。どのくらい時間が経ったら、どのくらい心が老いたら、姿を変えるべきなのか。生身の人間よりもよりいっそう、身体のことを「意識」して自分の人生を組み立てていかなければならないんですよね。それは生身の人間よりも精度の高い物語が必要とされること、なのかもしれないと思います。生身の身体は基本的に老化についていくだけだもんね。
一方で意識の分化というものも今作のテーマだったと思います。意識とは何かというSFは多いけど、意識というインスタンスをフォーク(コピー)する、フォークした意識たちを最終的にどうするか、ということを問いかけたSFはあまり読んだことがないですね。ちょっと似ているのが、平野啓一郎さんの「空白を満たしなさい」などで描かれている分人という概念かな。これは同シリーズのSolid State Socaiety につながるものなんじゃないかなと思います。分化するのはいいんだけど、どこかに統合する主体が必要なんだよね。それが「ゴースト」と呼ばれるものなのかもしれない。