べイマックス


!!! ネタバレあり !!!









ディズニーが描くヒーローアクション

ディズニーで本格的にヒーローを描いた作品というと「Mr インクレディブル」でしょうか。と言いつつ観てないんですけどね。この「べイマックス」、日本でのプロモーションは家族のドラマに寄った展開でしたが、意外とヒーローものでした。というかいくつか「アイアンマン」のオマージュ入ってたと思うんですよ。べイマックスの飛行シーンとか、手からビームとかね。それにラストのアレとか(笑)観終わって、これはディズニーがわりと本気でヒーローアクションを描こうとしているのではないか、と思いました。
この映画に登場するキャラクターは曲線が多く、子どもから大人まで親しみを持つようなデザインです。まあべイマックスを観たら分かりますよね。シンプルでありながら最低限の意思表示が分かるようになっている。そのデザインとは裏腹にこの映画、アクションがめちゃくちゃかっこいいんですよね。アクションというかキャラクターの動作や仕草が。べイマックス・マーク1(アイアンマンに倣ってこう呼びたいw)は危険を感じさせないゆったりとした動きですが、マーク2、マーク3とアップグレードするにつれてその動きが機敏に、ヒーローめいたおおぶりのアクションに変わっていきます。終盤におけるマーク3(偶然じゃないと思うけど赤い装甲)の、飛行直前の予備動作。ぐっと足を開いて重心を落として、次の瞬間にはもう飛んでいる。その一連の流れはまさにヒーローアクションそのもので思わず熱くなりましたね。
それに悪役の所作もめちゃくちゃかっこいい。舞台役者のような大きめの振りで襲いかかってくる迫力は観ていてすごく楽しかった。
それでいてドラマ部分はディズニーお得意の繊細な演技を入れてくるし、この緩急のバランスが非常にうまく取れていたと思います。

なかのひとはいない

というわけで私はこの映画のお手本は「アイアンマン」にあると思っていて、そうするとこのべイマックスという存在は、なかのひとがいない「アイアンマン」なのかというと、それは多分違うんですよね。べイマックスの基本機能は人を癒すこと。本来戦闘用ではないべイマックスが、科学技術という善でも悪でもない、使う人間によってどちらにもなり得るものによって可能性を開いていく、そういう物語だったと思うんですよね。ただハグをするだけなら、主人公のヒロはべイマックスにされなくても何度も叔母のキャスにしてもらっている。べイマックスはそれ以上の付加機能がなければならないんですよね。
べイマックスはヒロの「良心」を映す鏡という一面も確かにあると思うけど、むしろそのべイマックスに施す科学技術を、どのように使うのかという部分が強調されていたと思うんですよね。それはトニー・スターク(アイアンマンのなかのひと)が自ら開発した自社の兵器と戦う意志、科学技術を間違った方向には使わない、使わせないという意志をヒロは受け継いでいるのではないかと思います。何かを創り出すことは楽しい、でもその創り出したモノに対してどう責任を取るのか、ということ。それをきっちりと描いた作品だと思います。

日本でのプロモーションに関すること

べイマックスがまるっこいロボットなので、まるっこいロボットと言えばドラえもんドラえもんは去年「ドラ泣き」などのドラマ推しのプロモーションだったため同路線で、という感じなんでしょうかね。実際観たら確かにドラマ部分はとても良かったし間違ってないと思うのですが、「思っていたのとちょっと違った(けど面白かった)」という感想を映画館で耳にしました。私ももっと湿っぽいお話なのかなと思ってたけど、意外としっかりしたヒーローもので思っていたのとちょっと違ったけど面白かったです。英語版のトレーラーの方が想像に近いかな。まあ面白ければそれでいいよね。