アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン


観てきました。
まずは悲しいお知らせがあります。
ホークアイがパパって呼ばれてた。」


のおおお。のおおおおおおお!(壁に頭をぶつけながら)
パパー!パパってー!


いやいやいや。家庭持ってるキャラクター嫌いってわけじゃないし、むしろ世界を救うスーパーヒーローお父さんは大好きなんだよね。MGS、MGRの雷電とか。でもなんだか今回は妙にダメージ大きかったのです。なんだろう、知らなかったから余計にショック大きかったのか。リアルに「がーん」て効果音が出そうだったよ(笑)


まあそれはいいとして。よくないけどいいとして。
世界の危機に瀕した時にのみ招集されるスーパーヒーロー軍団「アベンジャーズ」。今作は特に危機でもないけれど、冒頭では平和への予備的な作戦行動を取っています。お、最初から飛ばすなーと思いつつ観ていたのですが、アクションはすごいのになぜか画面からにじみ出る倦怠感のようなものが気になりました。なんだかヒーローたちが「もうこういうの飽きたなあ…」って感じに見えてしまったんですよね。すごいアクションを繰り広げているのに、だるそうに会話してたりして。それがちょっと最後まで引きずっていて少し残念でした。


ストーリーの方はさすがによく考えられていて、今回新たな顔ぶれとなったスカーレット・ウィッチのマインドコントロール能力がキーとなり、ヒーローたちの心に潜在する恐怖が様々な展開に波及していく様は見事でした。でもソーのところがいまいち説明足りていないような気がするけど。
それと双子の兄弟、クイックシルバーもアクション面でいい活躍を見せていて、スピード勝負のホークアイに真っ向から喧嘩売ってて「はははこやつめ!(ぐぬぬ)」と思いながら楽しみました。いやーむしろ今回、ホークアイよりクイックシルバーの方がキャラ的に良かったなあ…。ホークアイはもともとチャラい感じのキャラらしくて(コミックは読んでないけど)、今作ではそういうチャラい感じ、性格わるーいところもいくつかあったんですよね。そういうところもワイルドでかっこいいけど、この人あんまりしゃべらない、ストイックな方が好きだな。クイックシルバーは「とにかく素早く動く」という以外に、肉体的に強くもなければ精神的に成熟しているわけでもない異色のヒーローなんですが、その未熟さ、生意気さが彼の「スピードについては誰にも負けない」という自信と連動して魅力的に現れていたと思います。


今作ではロマンス方面の展開も少しありましたが、なんだかちょっと中途半端な印象でしたね。家族、恋人、兄弟、人類。愛情のフェーズをそれぞれ用意したのはとても良かったけど、いまいち伝わってこない。ホークアイの家族のことも、穏やかな暮らしの中に潜んでいる不安や心配はもっとあるんじゃないかなと思うんですよね。そういうのを押し殺して奥さんも戦っている、という部分があまり見えてこなかったですね。まあパパって呼ばれたショックが大きくて見逃してる可能性もあるけど(笑)
ナターシャとバナー博士の関係も、ちょっと一方的すぎるというかバナー博士が奥手すぎてあんまりドキドキしなかったなあ。一方で美女と野獣のような関係の時はすごく良かったですね。恐ろしい中にもお笑いが入ってたりして。


ネタバレ







今作は人類がいまだに克服できない他人への恐怖と愛情をテーマにしていると思います。前作に比べてちょっと地味な感じがするのは外部からの敵がいないからですかね。敵は自分自身の恐怖心、そしてそれが産み出したものなんですよね。アベンジャーズそのものがすべての人に愛されているわけではなく、ひどく憎まれた存在だったり(超能力ツインズがその代表格ですが)するのは、人々がヒーローたちの能力に恐怖心を持っているから。人間を守るために使われるべき力が、まかり間違ってその矛先を人間に向けたら。まあ正直こんなご時世なので、武力の行使はどうあるべきなのかということを映画を観ながらちらっと考えたよね。それはいいとして、アベンジャーズが常設の組織ではなく、緊急時に集合(アッセンブル)するのはそういう人々の恐怖心を回避するためでもあると思います。あとは敵に総合的な能力を悟られないようにする、とか。
そしてアベンジャーズの彼らも、自分たちが維持している平和というものに確信を持てないでいる。どれだけ備えておけば、どれだけ防御しておけば人類を守りきれるのか、分からない。あ、この映画、全体的にどこかだるい感じがするのは、この分からないことから来る疲れを表現しているのかなあ。その平和が崩れ去ってしまうことへの異常な恐怖を、マッドサイエンティスト風に今作ではトニー・スタークが担っています。その恐怖の申し子がウルトロンです。そのウルトロンには当然のように愛情、他者に対する信頼はありません。彼は人類を無視して彼だけが進化する道を選びます。それに相対するのが、あの…えーと赤い顔の人。ヴィジョンか。彼は長年人と共に働いてきた人工知能ジャーヴィスと融合することでウルトロンのような恐怖心は持たずに済みました。しかし基本的には人間とは異なる知性であることは変わらないんですよね。ウルトロンに比べて友好的な態度ではあるけど、同等の能力を持ってる。
難しいですよね。ばかみたいに信頼するわけにもいかないし、がちがちに恐怖で縮こまっててもしょうがないし。だから備えながら様子を見るしかない。この映画、エンディングがなんだかすっきりしないのはそうならざるを得ないから、なのかなあと思いました。