ロブスター

独身であることは違法です。独身者は45日以内にパートナーを見つけてください。見つからない場合は事前に申告した動物に変えます。
独身叩きを覚悟(期待?)して観に行ったら、独身だけじゃなく既婚者も伴侶ありも全方向に叩きまくってて、いっそ清々しいくらいの人間不信ムービーで面白かったです。


これを観ながら思ったのは、恋愛版の「1984年」だなあということ。そうそう、「1984年」の中でも性愛は快楽を伴ってはいけない、できればささっと済ませて痛いくらいがいい、なんてエピソードがあったと思いますが、生き物としての人間の在り方をここまで言葉でばさっと切り捨ててしまうのも気持ち悪いを通り越して奇妙な感動すらありますね。で。ここから見えてくるものはなんだろう、というお話。別に「これが人間の本質よ!」というほど私は人間に絶望してもいないし、かと言って「そんなわけない。人間はもっと分かり合えるわ!」というほど、ポジティブじゃない。さすがにこの歳だと。そうだなあ、人間らしい愛情というものに拘って滑稽な愛憎を演じるくらいなら、いっそ動物の方がなんぼか幸せだ、とは思いましたね。
劇中、パートナーが見つかった女性が見つからなかった親友に向けて「あなたは私の最高の友達だったわ。私はこれから愛する人と暮らすけど、馬になるあなたのことは一生忘れない」という手紙を眼の前で読み上げてる最中に友人が平手打ちをぶちかまして「人間としての最後の日はリバー・フェニックスが出ている「スタンド・バイ・ミー」を見るわ」と言い切ったシーンが最高に良かったです(笑)私なら押井版攻殻観るわ。