あまたの星、宝冠のごとく

あまたの星、宝冠のごとく (ハヤカワ文庫SF)

あまたの星、宝冠のごとく (ハヤカワ文庫SF)


ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの短編集です。この中の「いっしょに生きよう」は別の短編集で読んだかな。
ティプトリーといえば「たったひとつの冴えたやりかた」、「輝くもの、天より墜ち」とか読んだけど、なんというかこう生きるってことにすごくシビアな視点を持つ作家だなあという印象です。
フィクションならではの「都合の良さ」を徹底して排除して、「厳しさ」の方へ先鋭化してるというか。この短編集では、時間SF的な、予想してなかった「しあわせな」未来に悩む「もどれ、過去へもどれ」とか、人工中絶が完全に廃止された世界で子供を養子に出すものの諦めきれない「肉」とか、フィクションでこれを読まされるのか。。っていう感じのお話がすごく異彩を放っていて面白かったですね。ゲームでいうとバッドエンドの後味というか。残酷さ故に印象に残る、そういう珠玉のお話たちでした。