「Rain」



土砂降りの雨の中で繰り広げられる、様々な人生の一時を丁寧に切り取った作品。
なのですが、ちょっと分かりにくい。
いわゆるオチというものがなく、すごく淡々とそこにある日常のドラマが、気怠いジャズに乗って流れて行く、
そんな映画でした。
なんの変哲もない、他人から見たら「ふーん」の一言で終わりそうな出来事なんだけど、
本人にとっては、どうにもそこから抜け出す事が出来なくて、
その抜け出そうというもがく事と諦める事との間の「揺れ」が描かれているのかなあ、と思いましたね。
その揺れが、背景で流れるジャズのゆっくりしたリズムと重なるというか、溶け合ってるというか。
特に、どうしようもないダメ親父を演じたピーター・フォークさん(あの刑事コロンボの人)がなんだか良くて、
徹底的なダメさや弱さをさらけ出して、観てて本当に嫌悪感すら沸くのに(笑)、ラストのベッドの上でちょっと微笑んでたりするだけで、
なんだかそういう固執がどうでもよくなってしまう、不思議な魅力がありましたね。
貧しい者も富める者も、とびっきり幸せでも不幸でもなく(いや不幸な登場人物は居ましたが)、生きていればこういう揺らぎはあるよなあ。
というか、こういう機微を映画で扱うにはちょっと難しい、というか私にはちょっと難しいかったです(笑)
もうちょっと生きていれば分かるようになるかなあ。