「スカイ・クロラ」



観てきました。
観る前は、監督のコメントとか読んでたので、
今回はかなり変わった感じなのかなと思っていたのですが、
あまり変わってなかったです。犬もちゃんと出てたし(笑)


観終わった後、正直つらいなあと思いましたね。
やっぱりまだ「世界は変わる、変えられる」っていう部分が自分のどっかにあって、
それを妄信することで生きていけたりするんですが、
それをこうもばさっと「変えられない」って言われちゃうとなあ(笑)
この物語が嫌気がさすくらい正直で、そこが快かったりするんですけどね。
ただ、絶対に「変わらない」とは言い切っていない訳で、
ラストの明度が上がったシーンでそれとなく「変えられるかも」という希望になっているのは
良かったです。
ラスト近くの函南と草薙が対峙するシーンは、一見とても希望に溢れているように観えたけど、
実はこれはかなりつらい事を言ってないだろうかとも思いましたね。
でもここはとても良かった。
何も変えられずに生き続けるつらさと、その中でも生きてみようという希望を持つ事の難しさ、
その難しさ故の価値が描かれてるような気がしました。


今回、一番面白いと思ったのがキャラクターの演技(演出)で、
実写のような所作をやらせてるんですね。
ただ、実写と違ってアニメーションのこういう所作というのは、
実写の場合の役者さんが意味(意図)に近づくように演じるのとは逆のアプローチになるので、
必ず意味があるはずだと思います。
ここは一つ一つ意味付けしながら観るのが楽しかったですね。
ここは観客が自由に楽しんでいいところだと思うし。
こういう表現は映画を撮るというより、役者さんの演技を撮るというスタンスだった頃の
かなり昔の映画っぽい感じもしました。


物語の中で、年を取らないパイロット達(キルドレ)の立場というのが、
ポジとネガで言うネガなんだな、とずっと思って観てました。
永遠に生き続ける=不死ということは、実は死んでいる事と同義で、
この子達は他の生きている大人達の世界がポジだとすると、ネガとして画面に映っているんじゃないか、
そんな気がしました。別にそのキャラだけ反転してた訳じゃないけど。


空の戦闘シーンは、あまり戦闘機とか詳しくないけど観ててゾクゾクしましたね。
物語の中程で、隊列を組んで攻撃をかけるシーン、真っ青な空に幾筋もの白い線が描かれてて、
とても印象的でした。
それに戦闘機などの乗り物などの3D化はもうあまり気にならなくなりましたね。
背景やキャラとの調整もあるんだろうけど、際立って違和感はなかったです。


声優さんに関しては、観る前からちょっと気になってたけど、
どのキャラも違和感がなくて物語に集中出来ました。
特にトキノを演じた谷原さんが一番違和感なかったなあ。
もちろん、主役二人の声もとても良かったです。