「ダークナイト」

観てきました。
数年に一度くらいの割合で、自分の中のダークサイド(笑)をがっつり刺激される作品に出会うような
気がするのですが、これはまさにそんな一本。
出会うというか、きっとこういうのを無意識に欲してるんだろうなあ。
そしてそういうのは、一応欲してない事にしてあるので(やらしいな)、
こういう偶然の出会い故の衝撃に思いっきり魅了されてしまうんだと思います。
観に行ってる時点で偶然じゃないけど。


お話の方ですが、ほとんど予習をしないで観に行った割にはすんなり入れました。
ちょっと微妙だったのが、レイチェルとの過去くらいかな。
ゴードン警部補やフォックス(技術担当)もよく知らなかったけど、
彼らとのエピソードを想像するのはそんなに難しくなかったし、
今回の物語の理解にはあまり影響はありませんでした。
物語の要所に頻繁に「光」と「闇」が出て来て、
それらがいろんな隠喩を含んでいたり、明確にセリフで説明してたりして、
これらをお話に結びつけるだけでもかなりのボリュームがあって満足できました。
こういうテーマの表現は、かなり解りやすい方じゃないかなと思います。
コインの裏表、光の騎士、闇の騎士(タイトルだし)、とか。
そしてこういうのを解りやすくして、アクションをしっかりと見せてくれる心遣いが嬉しい。
アクションはやっぱりテーマ的な所はいったん置いといて、がっと集中したいので。


そしてやっぱり、ジョーカーですよ。
もうね、生き生きしてるヒール(悪役)の居ないヒーローものなんて!って、観てる途中ずーっと思ってました。
あの挙動、あの口調、あの目の輝き。
動きや口調はとてもパラノイアな感じなのに、
瞳に冷えきった光が揺らぎなく灯っていて、一挙一動に魅了されましたね。
拘置所で見張られてる時と、病院でのシーンの彼がすごく輝いてました。
笑い声とか軽やかな声の下の方にちゃんとどす黒いのが感じられるのとか、すごく良かった。
本当に、亡くなられたのが惜しい演技でした。
病院のシーンは、いやー、なんだかんだ言ってもハリウッドってすごいわ。
このシーンは映画館で観て本当に良かったと心底思いました。
肝心のバットマンの方ですが、最近のヒーロー像なのかな、いやアンチヒーロー像ていうのか、
「え、そこまで引き受けるの?」っていうくらい背負い込んじゃうんだなあと思いました。
ヒーローを正義のボーダーのかなりギリギリまで落とし込んで、そのギリギリっぷりでヒロイックを
演出してる感じ。
MGS4もこれに似た感じがしてた。)
アンチヒーローって元々、ルールの外で我を通す所にヒロイックがあったと思うんですが、
これはそういうのとは少し違って、ルールの中で崖っぷちに立ってるようなそんな印象がありました。
最後のあたりの肉体的、精神的な限界際でのアクションはちょっと切なかったです。
でも全編に渡って鮮やかな黒い影が空中を舞うシーンや、バイクで疾走している時の羽の広がりの美しさは、とても素敵でした。
まあ、おっさん好きとしては、やっぱりゴードン警部補が一番良かったんですけどね。
ゲイリー・オールドマンさんは久しぶりに観たなあ。
病院関係者を避難させる時の、その場で判断しながら指示を飛ばすシーンが最高にカッコ良かったです。
お話の裏と表(光と闇)両方に関わり、その両方を支える重要な部分を、
変に主張する事もなく、でも地味でもない存在感で演じててとても良かったです。


音楽がハンス・ジマーさんだったんですが、劇中の音楽が少なくて、
ちょっと残念でした。
普通ここは盛り上がる曲だろうっていう所でも、音楽なしでアクションが進行してたりして、
後から「あれ?」って気づく程度にはアクションが凄まじくて気にならないと言えばならなかったんですが、
もう少し劇中で聴きたかったな。
サントラはかなり良さそうなので、買っちゃうかもです。






どーでもいいけど、
伊藤さんのブログで知った「フルトン回収システム」が観れて、これだけでワクワクしてしまいました(笑)