TEAM NACSの5人がそれぞれ監督したショートフィルム、ということで
観てきました。
ネタバレを含むので、たたんでおきます。
- 頑張れ!鹿子ブルブルズ!(監督:大泉洋)
映画というよりテレビドラマの域を出られないベタさも、ストーリーの盛り上げに冗談のような「死」を持ってくる展開の甘さも、ファンサービスっていうか内輪ネタばっかりなのも、まぁどうでもいいのかもしれません。
この5人がスクリーンの中で、まるで舞台のように、観てるこっちも思わず面白くなってしまうお芝居をしてるから。
- 神居のじいちゃん(監督:音尾琢真)
一番好きな作品。どことなく、昔よく観てた岩井俊二監督の雰囲気に近いかな。映画で大切な事は、女性が綺麗に撮れてる事、なんだそうですが、孫の女の子も、娘の女の子も柔らかい緑と光の中で美しく撮れてました。セリフではなく画で淡々と説明するシークエンスや、役者さんの演技にじっくりフォーカスする丁寧さ、そういうセンスは飛び抜けて良かったですね。
特に舞台の役者さんならではの、演技に重点を置いた演出はすごく素敵でした。ただ、ラストの方がちょっと冗長気味かなあとも思ったのですが、こういうのがこなれてくると個性になるかも知れないですね。子役の女の子が良かったです。
- 部屋クリーン(監督:戸次重幸)
私の知っている範囲内では、世界初の2.5Dアニメーション(笑)こういう実験的で、下らないことに全力をかける精神を、私は愛してやみません。
そこはかとなくつっこみどころを用意する周到さと、インパクトだけでガンガン押して行くキャラクター、漫画ちっくな背景などなど、見た目のバカさの割にけっこう作り込んでいるので、楽しかったです。
こういう雰囲気で、Fourで音尾さんが脚本した、カレーとシチューの戦いの物語があると面白いかも。
- ヤスダッタ3D(監督:安田顕)
観てて、何故か山月記っていう、けっこう有名な虎になるお話を思い出しました。多くのお話に登場するモンスターの役割は、非人間性と人間性の境界を象徴していると思うのですが、これはそういう伝統的なお話でもあり、また安田顕という、いろんな意味で人間の業をむき出し(笑)にしてしか生きられない人の、告白でもあると思うのです。
- AFTER(監督:森崎博之)
ちょっと前までSF映画でレトロフューチャーなる、過去が描いた未来を舞台にした映画が流行った事がありましたが、これは未来で描いた先取りのドキュメンタリーなんだろうな、と思いました。森崎さんの作品群の中で、一貫して描かれている「今ここに居る自分」という像をこういう映像として観られるのは、舞台とは違う面白さがあって面白かったですね。音きっかけでストーリーが動くって言う相変わらずの演出もあったし(笑)
コミカルに5人の将来像を演じたおじいちゃん達が、ラストシーンで胸を張って立っている姿が、とても良かったです。